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ヤクルト身売り騒動の内幕

 一部スポーツ紙が1面で報じた「ヤクルト、IT企業のサイバーエージェントへ身売り」という衝撃的なニュースは、球界を揺るがしたが、ヤクルト、サイバーエージェント双方が「事実無根」と全面否定。1日で騒動は沈静化の様相だ。が、まだまだ予断を許さない状況だと言い切る関係者もいる。なぜなのか。

 ヤクルト本社の業績は良い。とくに中国、ブラジルなど海外での売り上げが絶好調だと言われている。本社のTBSが経営不振で横浜球団を住生活グループに身売りしようとして失敗したのとは事情が違っている。サイバーエージェント側も藤田晋社長が「5年前からヤクルトファンでうれしい話だが、残念ながらウチではまだ無理」と明言。ソフトバンク、楽天に続く第三のIT企業の球界参入を完全否定している。
 今回のヤクルト身売り報道はスポーツ紙の勇み足で大誤報という見方で一致している。それなのに、「球界再編の動きから目が離せない。04年のシーズン中に起こった球界再編、10球団1リーグ制度の動きが再燃するのでは…」という声が、球界内部では逆に広まっている。
 というのも、最終的にご破算になった横浜の身売り騒動の後に、すっかり身売りコメンテーター役になっていた球界のドンのナベツネさん、こと巨人・渡辺恒雄球団会長が無気味な予言をしているからだ。「球界再編の動きにつながらなければいいのだが…」と。

 04年シーズン中の10球団1リーグ制の動きに関し、旗振り役の悪者として世間から大バッシングされた渡辺球団会長だが、実は救済役だった。オリックス・宮内義彦オーナー、西武・堤義明前オーナーから「パ・リーグはもうやっていけない。1リーグ制度にしてほしい」と泣きつかれ、崩壊危機のパ・リーグを救うために一肌脱いだのだ。球界版・黄門様になるつのりが、世紀の悪役にされたのだから、大誤算だっただろう。
 それはともかく、球界再編の動きを肌で知る渡辺球団会長の一言だけに、なによりも重いし、聞き流せない。しかも、どこにでもチャンネルがある球界のドンであり、身売り問題をイの一番にキャッチできる立場にいる。
 「球団の売買の際には、事前にナベツネさんの了解がないとうまくいかないから、当然あいさつがあるだろう。ニッポン放送がマルハから横浜球団を買収しようとして潰されたのも、ナベツネさんの一言だからね。『ニッポン放送はヤクルトの株も持っているし、2球団にまたがって株を所有するのは野球協約違反だろう』と」
 渡辺球団会長の予言を裏付けるように、ある球界関係者はこう言い切る。「来年は大変なことになりますよ。ヤクルトの身売り報道騒動はちょっと早すぎましたが、油断は禁物ですよ」

 近鉄が完全白旗を揚げ、オリックスへ球団を丸投げ、オリックスバファローズが誕生したことが、04年シーズン中の10球団1リーグ制度の動きへの引き金になった。「今度はTBSが買い手のつかない横浜を手放し、ヤクルトに吸収合併されることから、球界再編の動きが再燃する」。こう断言する球界OBまでいる。
 いずれにしろ、球界のドンとして君臨し続ける巨人・渡辺球団会長の言動をチェックしないと、身売り最新情報はキャッチできない。ということで、TBSの住生活への横浜身売り騒動の際の再現。野球担当の記者たちのナベツネ詣でが再開される。

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