同団体は6月7日、会見を開き、一連のスーパー・ヘイト選手(本名:平井伸和)の事件に関し、武藤社長が責任を取って辞任することを明らかにした。辞表は同日付で提出され、武藤は取締役にとどまる。後任の社長には内田雅之取締役が内部昇格する。武藤は「選手を処分するのは断腸の思いだった。選手を罰するなら自分自身ケジメをつけないといけないと思った。木曜日(2日)には決意が固まっていた」とコメント。
5・29神戸大会でヘイト選手が、試合後に急性硬膜下血腫で倒れて開頭手術を受け、いまだに意識が戻らない状態が続いている。その試合前には、TARUがヘイト選手に暴行を加えていたことが判明。TARUを始め、同じ控え室にいた軍団メンバーのKONO、稔、MAZADAの計4選手が無期限出場停止処分となった。
事件後、武藤は沈黙を守っていたが、即社長辞任に至った。後任の内田氏はプロレス畑以外の出身で、武藤に乞われて同団体の経営に参画。斬新なアイデアで、武藤全日本をサポートしてきた。当初は社長就任を固辞したという内田氏は、「このような状況のなかで、代表取締役という大任を仰せつかり、重責を全うできるか大変不安でもあります。選手、スタッフ一丸となって、この難局を乗り越えていこうと決意しました」と話した。
企業で事件が起きた場合、代表者の対応はさまざまだが、事件の処理に一定の区切りがついた段階で身を引くのが一般的。その意味では、次期社長の内田氏は、まさしく火事の真っただなかに、火の中に入るようなもので、貧乏くじを引いたともいえる。再発を防ぐため、同団体では現場責任者のカズ・ハヤシが中心となって、フリー選手を含めて、より一層管理体制を強化する方針を示した。大役を担った内田氏の手綱さばきに注目が集まる。
なお、武藤はこの事件に関して、一連の過剰な取材、報道をしてきた東京スポーツ紙に対し、個人的な取材拒否を宣告。全日本、新日本プロレス、プロレスリング・ノアの3団体が協力する同社主催のオールスター戦、8・27日本武道館大会への出場が微妙になった。
(落合一郎)