search
とじる
トップ > その他 > 「自分は大丈夫」が1番危ない 林葉直子も襲われた「アルコール性肝硬変」の危険信号(1)

「自分は大丈夫」が1番危ない 林葉直子も襲われた「アルコール性肝硬変」の危険信号(1)

 つい先頃、元女流棋士でタレントの林葉直子さん(46)が重度の肝硬変を患っていることを告白。「もう回復の見込みはない」と死に対する予告までして、衝撃を与えた。肝硬変と聞くと「肝臓の病気で、酒を飲みすぎるとなる」程度の知識を持っている人は多いが、林葉さんの痩せ細った姿を見るにつけ、改めて肝硬変の怖さを認識させられたはずだ。
 林葉さんはインタビューの中で、8年前から重度の肝硬変を患い、死の淵に立っていたことを告白している。
 体調が悪化したのは'06年。アルコール性肝硬変で、大量の飲酒が原因だった。体重も38キロまで激減。かつて先輩棋士との不倫騒動で世間を賑わせていたが、この騒動が原因で飲酒の量が増え、ウイスキーを1日に1本飲んでいたという。「飲みすぎですね」と本人は苦笑いしながら、後悔の念を口にしている。

 また『酒と泪と男と女』などの大ヒットで知られるシンガーソングライターの河島英五さんは、2001年に肝臓疾患で急逝している。
 河島さんは'00年11月に関西での野外コンサート後に体調を崩し、その後は下痢や嘔吐が続き、'01年1月、富山のコンサートからの帰宅後、吐血し入院。気分が悪く無理に吐いた際、胃が切れて血が止まらなくなるマロリー・ワイス症候群と診断され、さらに詳細に診察すると肝硬変や静脈瘤も見つかった。
 そして入院2日後の16日未明、家族に見守られながら息を引き取った。48歳の若さだった。
 河島さんは酒豪のイメージがあるが、'80年代半ばにC型肝炎であることが判明。その後は煙草もやめ、酒も打ち上げの乾杯くらいでお茶を濁していた。しかし肝機能は低下し、血圧も高めだったが、医者の止めるのも聞き入れず、薬を飲みながらコンサート活動を続けていたという。

 肝硬変は、長年の慢性肝炎によって肝細胞(肝臓の機能を営んでいる細胞)が壊死し、そこに線維成分が増えて入れ替わり、肝臓が文字通り硬くなって「再生結節」と呼ばれる5〜10ミリのしこりができる状態を指す。症状は多彩で、黄疸、腹水、脳症、食道静脈瘤、出血傾向、肝がんなど、いずれも肝細胞が減少し、血液から十分な酸素と栄養素の供給が受けられなくなり、肝臓の機能が低下する。
 また線維が増えて硬くなることから、肝臓全体の血液が流れにくくなり、循環障害を起こす。慢性肝炎の段階では生命に危険はないものの、肝硬変に至ると生命に関わる病態に変わる。

 肝硬変の種類としては(1)ウイルス性(B型、C型)、(2)アルコール性、(3)自己免疫性、(4)薬剤・毒素性、(5)栄養・代謝障害、(6)うっ血性など、多岐にわたることで知られる。
 循環器系クリニックを営む医学博士・内浦尚之院長はこう説明する。
 「酒飲みにとって深刻な病気が肝硬変です。アルコールの分解と処理は肝臓で行われますが、毎日大量の酒を飲み続けると肝臓は休む暇がなくなり、確実に障害が起こる。アルコールには脳に対する麻痺作用があり、人体にとっては有害なもののです。アルコールが体内に入ると肝臓は、速やかに無害化に努めますが、その能力には限界があり、肝臓に負担をかけ続けるとさまざまな障害が現れます。アルコール性脂肪肝やアルコール性肝線維症、そして肝炎から、肝硬変へと移行する。ただ、アルコールによる障害はすぐには出ないため、“オレは大丈夫”と思い込んで安心していると、大変なことになる。そこを自覚してほしいですね」

その他→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

その他→

もっと見る→

注目タグ