“ブル様”の愛称通り、女帝のイメージが強いブルだが、実はこれほどまでにひたむきに謙虚に、女子プロレス界に愛情を持って努力してきた者はいない。デビュー当時からブルを知る関係者は「彼女はもともと、気性が荒いわけでもなく、よく気がついて優しい女性。後輩思いで本当に素晴らしい人格者です。プロレスに対しても、とにかく人一倍真面目で情熱があった。探究心が強く、時には自身の幅を拡げるために後輩からも謙虚に技を教わることもありましたよ。余談ですが、彼女は顔もとてもかわいらしい。料理も上手で女性としても魅力がある。そんな彼女がヒール役に転じたのも会社から言われてのことで、元来の性格はヒールとは正反対ですよ。しかし、誰よりもプロレスを愛するために自分のポジションをしっかりと確立し、会社の期待以上の活躍をしました」と証言する。
そんな言葉通り、ブルは体を張って女子プロレス界を支えてきた。88年、ダンプ松本が一時引退した際は獄門党を結成しアジャ・コングやバイソン木村らと実力派ヒール軍団とべして暴れ、女子プロ界を沸かせた。また、クラッシュギャルズ引退後にはWWWA世界シングル王座を獲得。その赤いベルトを実に3年間も守り続け、価値を高めたのである。更に90年、アジャ・コングとの金網デスマッチで高さ4メートルの金網頂上からのダイビングギロチンドロップは歴史を変えるほどのインパクトを残した。ブルは圧倒的な強さで女子プロのレベルアップをはかったわけだ。ビューティペアやクラッシュギャルズなどアイドル人気が頼みの綱だったそれまでの女子プロ界を根本から大変革させたといえるだろう。
長年守ったWWWAシングルベルトをアジャに明け渡した後は米国に長期遠征しWWFのトップレスラーとして活躍し、日本人としては初の同女子王座を獲得するなど更に自らと日本女子プロレスの価値を高めていった。
しかし近年、プロレス界は男女共に低迷気味。打開策はあるのだろうか。
「ブルがいなかったら歴史に残る後輩レスラーも生まれなかったでしょう。北斗のように彼女を慕ってプロレス界を盛り上げた選手もいます。ただ、最近のレスラーはもう…キャラも薄いし面白い試合も見せられないし、中途半端な選手が多い。これじゃ、低迷し続けるでしょうね。切り札はブルの復帰しかない。女子プロ界に彼女が何らかの形で復帰して変革をもたらしてくれるしかないでしょう。実はあちらこちらからブル復帰論も聞こえていて、単なる根拠のない願いというわけではなさそうです」(プロレスマスコミ関係者)
類まれなるプロレスセンスに溢れた女帝が再び女子マット界に変革をもたらすことはあるのだろうか、注目される。