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少年が突然の失踪、金を盗まれたと語る男と家族に届いた“少年の”手紙【未解決事件ファイル】

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画像はイメージです

 1969年2月23日、長崎県佐世保市に住む当時14歳の男子中学生Aさん(仮名)が制服姿で自宅を出た後、行方が分からなくなった。Aさんに一体何が起きたのか。Aさんからお金を盗まれたと証言する男性、失踪の翌日に家族のもとに届いたAさんからの手紙。いくつかの手掛かりを残したまま、2019年現在もAさんの消息は生死含めて不明のままだ。

 Aさんの姿が最後に確認されたのは、2月23日の日曜日の午後2時過ぎ。「ちょっと街に行ってくる」と家族に声をかけ、制服に制帽姿で家を出て行ったのを母親が確認している。ただし、その日に学校の授業があったかは不明である。

 それから約4時間後の午後6時30分頃。Aさんの自宅に、一家と面識のない当時24歳のクリーニング店員Cさんが訪れた。Aさんともう一人の少年Bさんにお金を盗まれたと言い、Aさんの制帽から家を探してきたと話した。なお、このBさんの消息も不明で、本当にAさんの友人だったのか判明していない。

 Cさんによると、午後3時30分頃に市内の道路で、AさんとBさんが側溝に落ちたバイクを引き上げようとしていたという。Cさんは、彼らを手伝おうとジャンパーを脱ぎ、道路わきに置いた瞬間、Bさんがジャンパーを奪って逃走。遅れてAさんも逃げ出した。ジャンパーの中には46万円もの大金が入っていたので、Cさんは必死で追いかけたが捕まえることは出来なかったという。遅れて逃げ出したAさんの制帽を取ることが出来たので、名前から実家を探し当てたという。

 さらに、事件翌日の24日、Aさんから父親に宛てられた直筆の手紙が実家に届いた。内容は「前略 心配かけてすみません。悪い友達にさそわれて、人のお金をとりました。中には四十万以上も入っていましたが、僕は少ししかもらっていません。 学校の方は、僕の気持ちがおさまるまで、病欠にしていてください。 すぐに帰っておわびいたします。 どうかさがさないで下さい。 A(少年の名)」というものだった。しかし、Aさんの筆跡であることは間違いないものの、自分の名前を間違えており、普段Aさんが使わない「前略」という文字が記されていたことから、両親は不自然さを感じたという。

 警察は、手紙の内容が何者かに書かされていたのではないかと考えて、誘拐事件と判断。大量の捜査員を動員し、市内から山中まで捜索を開始した。しかし、Aさんの姿は見つからず、翌日25日は公開捜査に踏み切るも、目撃証言すら確認出来なかった。

 Cさんの証言には疑わしい点がいくつもあった。警察の捜査によると、Cさんが語った場所にはバイクが落ちた形跡は見られず、誰一人目撃者もいなかった。また、Cさんと初対面のAさんらがジャンパーに金が入っていることを知らないはずなのに、何故ジャンパーを盗んだのかという疑問。さらに、Cさんの家族すら46万円の出所を知らなかったという。警察の捜査によると、Cさんは4か月前まで少年刑務所にいたことが判明。出所してから、どうやって46万円もの大金を稼ぐことが出来たのかという警察の問いに、Cさんは答えていないという。

 警察は、Cさんが事件に関与しているのではないかと考え、ウソ発見器にかけるなど、厳重な取り調べを行った。しかし、証拠の決め手はなかった。1973年11月16日付の朝日新聞の夕刊は、Cさんが金の出所について、「言うと不利になる」と語ったことを報じているが、事件との関係は確認されていない。

 家族に宛てた手紙に残された「前略」「名前の誤り」は誰かに書かされたことを示しているのだろうか。また、Aさん失踪後に突如現れたCさんは何者だったのだろうか。事件から1年後、Aさんの家族は佐賀県に引っ越しをしている。息子が帰る家がなくなってしまうことになるが、どのような理由で長崎県から離れたのだろうか。不可解な謎ばかり残したまま、真相は未だ明らかになっていない。

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