2004年と2005年に行われたこのE-1クライマックス。第一回は現在フリーの佐々木恭介が優勝し、同時に初代STYLE-E認定無差別級王者となっている。2005年の第二回は、現在総合格闘家である越後隆が優勝している。第一回・第二回共にトーナメント制で行われているが、復活した第三回は全8選手を2ブロックに分けたリーグ戦。他団体のリーグ戦よりも過酷になっている点は、勝利を収めなければ得点を得られない所。加えて公式戦は全て20分1本勝負である点。つまり、20分以内に対戦相手から勝利を収めなければ、得点を得られないのだ。
AブロックにはSTYLE-Eから現無差別級王者の竹田誠志、プロレスリング・アライヴの末吉利啓、対抗勢力の獅子一色から趙雲”骨”子龍、西調布妖怪組合の藤田MI太郎がエントリー。
メインイベントで行われたのは竹田と藤田によるSTYLE-Eと西調布妖怪組合の頂上決戦。若き王者竹田に課せられたのは「絶対優勝」。妖怪になってからの藤田との対戦は初となる竹田は、まず藤田の足に照準を絞る。ロープに逃げられると、次に竹田は藤田の「妖怪アンテナ」を掴んで攻撃、さすがにこれには藤田の表情も歪む。レフェリーの注意を逸らせた藤田、セコンドに就いていた妖怪組合の砂かけCHANGO&アミゴの親父がすかさず竹田に攻撃を加える。リング内に竹田を引きずり込んだ藤田は、セカンドロープに竹田の両足をかけた状態からDDTを放つ。藤田は竹田の首にピンポイント攻撃を仕掛けていった。
藤田の執拗な首への攻撃とセコンドを使った反則攻撃に対し、竹田はあくまでも正攻法で対する。得意技の、走りこんで膝を叩き込むロッキンボ、セコンドを分断して決めたジャーマン・スープレックスはカウント3寸前まで藤田を追い込むが、決定的なダメージを与える事が出来ない。逆にネックツイストやSAYONARAで竹田の首に強烈なダメージを与えていた藤田は、CHANGOの目潰し砂攻撃から急角度のDDT、サスケだましセグウェイと立て続けに決め、3カウントを奪っていった。
いきなりの王者竹田からの勝利に、藤田は改めて優勝宣言、そして優勝賞金の20万円で「西調布妖怪プロレス」の旗揚げを目論む。対する竹田は初戦で躓いてしまったが、優勝賞金で「西調布格闘技アリーナをもっと綺麗にする」と告げた。
Aブロックもう一試合は末吉利啓と趙雲“骨”子龍の対戦。獅子一色から唯一のエントリーとなった趙雲には、高梨岩兵衛がセコンドに就く。試合開始直後、握手を求めた趙雲、末吉が手を握り返すとトーキックを腹部にぶち込み、丸め込み技の連発でいきなり末吉を窮地に追い込んでいった。何とかペースを取り戻そうと末吉もファルコンアローや稲妻エルボー、リバースのカンパーナ等で攻勢に立つも、リバースタイガードライバーを切り返した趙雲が、レフェリーの注意を逸らすと同時に急所攻撃。スタンドの状態から腕を極めて丸め込む新技「回鍋肉」で初戦白星を飾る。
BブロックにはSTYLE-Eから田村和宏、柴田正人、ガッツワールドからダイスケ、そしてパンクラスMISSIONの冨宅飛駆がエントリー。
観客に衝撃を与えたのは冨宅飛駆。初戦で柴田と対戦した冨宅は、体重差と柴田のパワーに苦しめられるが、柴田の背中に飛び乗ってスリーパーからチキンウイング・フェースロック。グラウンドに移行して胴絞めを加えた状態でギブアップを奪ってみせた。リーグ参戦全選手入場時、一人だけ落ち着いていた冨宅。自分が選手宣誓をするんだと乱闘になった他の7選手を尻目に、一人リングに残った冨宅が選手宣誓を行っていた。U系のベテランはE-1クライマックスの台風の目となり、STYLE-Eに脅威を与えるのか。
ガッツワールドのTruthで行われた団体対抗戦、田村和宏から直接ピンフォールを奪ったダイスケ。田村からのエントリー要請に応えた形となる。一方、第一回・第二回のE-1クライマックスで決勝に残りながら優勝を逃している田村和宏。田村にとって今回のE-1優勝は悲願なのだろう。絶対に負けられないという意地と意地がぶつかりあった両者の対戦はいきなり発火点を超える戦いとなる。
ランニング・エルボーパッドで田村を場外にエスケープさせたダイスケは、新木場大会の時に田村が痛めた腰に集中攻撃をかける。対する田村はダイスケのエルボー封じに左腕への集中攻撃。体格差で上回るダイスケの立体殺法に苦戦を強いられる田村。GWCシングル王座挑戦のためにこの田村戦を白星で飾らないといけないダイスケは、積極的に田村を攻撃する。しかし田村にもSTYLE-Eを牽引してきた意地がある。苦しめられながらも一瞬の隙を逃さなかった田村、ダイスケのフィニッシュ技であるスライディングDをかわして腕固めを極めた。追い討ちのアックスボンバーからフィッシャーマンズバスター、そしてキックのコンビネーションからのミノルスペシャルでダイスケを撃破した。
接戦の勝利だった。改めてダイスケをライバルとして認めた田村、試合後「どうだ!」という表情でダイスケを見つめる表情が印象に残っている。田村和宏の悲願であるE-1クライマックス初制覇は達成できるのか。
確かに観客動員数だけを見るとビッグマッチの次大会なので「少々勢いが落ち着いてしまった」感じが見られるのが現実かも知れないが、リングの中にはそれを感じさせない熱が続いていた。決勝の行われる12月には月に2大会を行うと発表したSTYLE-E。新木場の熱は消えていないどころか、新たな目標に向かってその勢いを増している。
まずはE-1クライマックスを成功させ、そして再び行われるであろう新木場大会、いや、もっと上を目指して突っ走って欲しい。西調布で行われているこの団体、改めて目が離せなくなってきた。
(Office S.A.D. 征木大智(まさき・だいち))
◆STYLE-E10月大会『開戦!E-1クライマックス〜消すな新木場の火〜』
2010年10月16日(土)
会場:東京・調布『西調布格闘技アリーナ』(観客116名)
<メインイベント E-1クライマックスAブロック公式戦 20分1本勝負>
○藤田MI太郎【西調布妖怪組合】〔1勝0敗=1点〕(16分51秒 片エビ固め)●竹田誠志〔0勝1敗=0点〕
※サスケだましセグウェイ
<セミファイナル E-1クライマックスAブロック公式戦 20分1本勝負>
○趙雲“骨”子龍【獅子一色】〔1勝0敗=1点〕(9分58秒 回鍋肉)●末吉利啓【プロレスリング・アライヴ】〔0勝1敗=0点〕
<第4試合 群雄割拠〜STYLE-Eタッグ戦線〜 タッグマッチ 30分1本勝負>
○ヤス久保田&ヒデ久保田【スポルティーバ・エンターテイメント】(10分03秒 片エビ固め)砂かけCHANGO&●アミゴの親父【西調布妖怪組合】
※CHANGOの砂攻撃誤爆から 久保田ブラザーズが西調布妖怪組合への加入を承諾した。
<第3試合 E-1クライマックスBブロック公式戦 20分1本勝負>
○田村和宏〔1勝0敗=1点〕(13分15秒 ミノルスペシャル)●ダイスケ【ガッツワールド】〔0勝1敗=0点〕
<第2試合 E-1クライマックスBブロック公式戦 20分1本勝負>
○冨宅飛駆【パンクラスMISSION】〔1勝0敗=1点〕(5分53秒 胴絞めチキンウイング・フェースロック)●柴田正人〔0勝1敗=0点〕
<第1試合 STYLE-Eフレッシュファイト タッグマッチ 30分1本勝負>
○山田太郎【666】&那須晃太郎(7分49秒 エビ固め)吉野達彦【ガッツワールド】&●玲央 ※ランニング・エルボーパッド
◆STYLE-E 年内の興行予定
2010年11月20日(土)開場:18:30/開始:19:00 西調布格闘技アリーナ ※リーグ戦4試合
2010年12月5日(日)開場:12:30/開始:13:00 西調布格闘技アリーナ ※リーグ戦4試合
2010年12月18日(土)開場:18:30/開始:19:00 西調布格闘技アリーナ ※優勝決定戦