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滋賀県東近江市発! 豊臣秀吉が愛した幻の銘茶「政所茶」

 「政所(まんどころ)茶」は、戦国武将・石田三成が幼少の頃、豊臣秀吉に出したとされる「三杯の茶(三献茶)」としても有名である。秀吉は生涯、政所茶を愛したといわれ、後に朝廷や彦根藩にも献上された銘茶である。

 政所茶の産地は、琵琶湖東部の山間にある滋賀県東近江市永源寺町政所である。政所の他にも九居瀬・黄和田・箕川・蛭谷・君が畑の六ヶ村は、政所六ヶ畑と総称される。また、「政所茶と木地師の里」ともいわれ、「宇治は茶所、茶は政所、娘やるのは縁所〜宇治は茶所、茶は政所、味のよいのは九居瀬の茶〜」と、茶摘み唄にも詠われるように全国に名の知れたお茶の産地である。

 東近江市の名産品「永源寺こんにゃく」と並び、政所茶の歴史は古く、室町時代に永源寺5世管長の越渓秀格禅師が、政所の地質が茶の栽培に適しており、愛知川の豊かな水量によって発生する霧の作用に薬用効果を発見し、村人に薬用として茶の栽培を勧めたことが始まりとされている。また、「政所人ども夏は茶を多くつくりて出羽の秋田に出し、ここでもお茶が秋田へくだる〜」と、本居宣長の著書『玉勝間』にも記されており、東北の地にまで出荷されていた。

 政所茶は、寒暖のはっきりした場所で無農薬、有機栽培され、今でも機械を使わず一葉一葉真心込めて丁寧に手摘みで収穫されているので、香りが良く、苦みの中にほのかな甘みがある。二番茶は摘まず、殆どが煎茶としている。茶葉の特長は、極太で艶もなく、どう見ても下級品にしか見えないのだが、これが超高級品なのである。「その香気と喉越しの良さは他に類がない」といわれており、地元の業者でも、ほとんど入手できない幻の銘茶となっている。

 江戸初期には政所茶の生産量が増大し、幕末から明治にかけては飛躍的に生産が伸び、他県から山を越え千人を超える茶師が茶摘みの応援に訪れるほどであった。しかし、戦後、永源寺町では村人の集落離散や少子高齢化によって、政所茶の生産量は減少の一途をたどり、現在では30軒ほどの農家でしか生産されないため、さらに希少価値は増している。

写真:「政所茶畑」滋賀県東近江市永源寺町政所

(皆月斜 山口敏太郎事務所)

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