映像ディスクのプレスには台湾や韓国などに発注する海外プレスと、国内のプレス業者に発注する国内プレスの2つの方法がある。海外プレスは比較的安価になる反面、情報漏洩やプレス時に製品についての細かい注文ができないなどのデメリットがあり、アニメ作品はユーザーの要望に応えられる高品質の製品化ができる国内プレスを重視してきた。実はこの国内プレス工場は関東や東北に多く存在しており、今回の震災の影響をもろに受けた形となっている。
プレス業関係者は「震災の直後、関東では数日間現場が完全にストップ、東北の方に至っては、プレス工場の再開見込みが立たないところもあるようです」と語る。それに加え燃料不足による流通の停滞も悪い状況に拍車をかけているようだ。さらに電力不足も重なり、正常化にはまだまだ時間がかかるとのこと。
現在は関東より西のプレス工場をフル稼働させて、改善を図っている最中とのことだ。運搬にかかる燃料面の問題も良くなってきており、少しづつではあるが持ち直しているようだ。被災して苦しむ人々が多い中、食料品や生活必需品の供給の正常化が先だということは当然だが、こういった娯楽商品の業者でも、流通の正常化に努力している人々がいることを知ってもらいたい。(斎藤雅道)