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イチローの『契約更新』に隠された(?)球界の年金事情

 もう、そろそろではないだろうか。シアトルマリナーズのイチロー外野手(38)が、今季で5年契約を満了する。メジャーでは契約最終年を迎えた主力選手に対し、そのシーズン途中で再契約を交わす。本人の移籍志望が強い、あるいは、「チームが高額年俸を払ってまで引き止める必要はない」と判断した場合は別だが、マリナーズとイチローの友好な関係とこれまでの実績を考えれば、『残留=シーズン途中での契約更新』は間違いないだろう。
 「年間200本安打の連続記録がストップしたイチローの評価は簡単ではありません。昨季は打率2割7分2厘と不振でしたが、今季は復調しています。昇給での契約更新になると思われます」(現地特派員の1人)

 そのイチローの契約には、日米間の野球格差も隠されている…。
 08年から今季までのマ軍との5年契約では、イチローの年俸は1800万ドル(約21億円9000万円/更新当時のレート)と伝えられていたが、実際は違う(5年総額9000万ドル)。本当は「毎年1200万ドルずつ」が支払われ、残りの「9000万ドル-(1200万ドル×5年)=3000万ドル」は、5%の利息を付けて、2013年から2032年までの20年間に渡って、分割払いされる契約になっていた。「3000万ドル÷20年=150万ドル」。つまり、「150万ドル×年利5%」ずつが、イチローが59歳になる2032年まで支払われる計算だ。
 150万ドルは今日のレートでも1億1250万円。イチローは当然、2013年の来季以降も現役を続けるはずだから、「新年俸+150万ドル」が支給される。メジャーでは年俸を満額支給せず、一部を分割払いにする契約は珍しくないそうだ。

 また、メジャーリーグの年金制度だが、「1年」を172日間(登録日数)で計算し、10年で受給資格を得られるシステムになっている。経済状況によって若干の変動はあるそうだが、現時点で45歳からの支給を選択すれば、「毎年13万5000ドルずつ」(約1000万円)。62歳からの支給なら、「17万5000ドルずつ」となる(16万5000ドルで推移していた時期もある)。日本人プレーヤーで『10年の年金支給資格者』は野茂英雄、イチローの2人。松井秀喜は2011年シーズン終了時に「あと1年」となったが、3A以下は日数にカウントされない。ステータスとして、松井にも年金支給資格を得てもいたいが…。
 詳細は省くが、たとえ1日でもメジャーでプレーすれば、僅かではあるが年金支給対象者となる。10年に到達しないで引退したメジャーリーガーたちは、その在籍年数に応じての金額が支払われるという。しかも、その掛け金は全額球団負担というから、興味深い。

 これに対し、日本のプロ野球界は一、二軍を問わず、「10年以上在籍すれば受給資格者になれる」とされ、15年以上在籍で『満額』。国民年金と適格退職年金の併用だったころ、満額で「一律・毎年142万円」だった。確定給付企業年金法の改正により、適格退職年金は事実上なくなっており、選手会は新しい枠組作りを目指している。10年以下の年数で引退する選手は、その年数に応じた「一時金」が支払われる。日本円で2000万円近くが支給されるメジャーとの格差は、あまりにも大きすぎる…。イチローとマ軍が契約を更新したとき、NPBとプロ野球選手会・労組はどんな未来像を考えるのだろうか。

※メジャーリーグの年金支給額は経済状況によって変動しており、2012年以降に定められる数値とも異なる可能性があります。

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