新たなるハッスルとも言うべき、ハッスルMAN'Sワールドが9月10日、新宿FACEにて旗揚げ戦を行った。
「かつての栄光は微塵もない」「最も小さなプロレス団体」として一からのスタートを行う。
旗揚げ戦のメインを飾ったのは、坂田“ハッスル”亘と「地獄を見た男」若鷹“ジェット”信介の一騎打ち。ジェットは「顔じゃないってわかってる、でも俺の挑戦を受けろ!」と志願しこの対戦に臨んだ。
「俺が対戦相手になった事で坂田にしてみたらやる気がなくなったんじゃないか? 自分の立ち上げた団体が思ったより扱いが低い、注目度が小さい、そんな事で気が抜けてるんだったら冗談じゃねぇ! 殺されてでも勝つ!」。入場時から気合を全開にして坂田の登場を待つ。
開始のゴングを待ちきれなかった。投げ込まれた紙テープがリング上に残る中、いきなりの奇襲ドロップキックで先制攻撃に成功するジェット。コーナーに追い込んでの膝蹴り、逆水平チョップ、再度のドロップキックで坂田は場外に。それでもジェットの攻撃は止まらない。エプロンを走りこんでドロップキックを放ち、鉄柱に坂田の額を叩き付ける。リングに戻る坂田の額からはおびただしい量の鮮血がしたたり落ちている。
傷口に攻撃を加えていくジェット。掻きむしり、蹴り上げ、拳を突きつける。その度に鬼のような表情で立ち上がっていく坂田。
坂田の反撃は思い切り振りかぶる張り手から。ローキックで倒しておいて、息の根を止めんとするスリーパーホールド。ジェットは額を蹴り上げて脱出し、エプロンにエスケープした坂田に攻撃しようとするが、逆に読まれて更にスリーパーで絞められてしまう。坂田はミドルキックからジェットをロープに振ってスロイダー。コーナーにうずくまるジェットを蹴り上げ、もう一度スリーパーへ。そして急角度のバックドロップを三連発。フォールの体勢に入るがカウント2でキックアウトするジェット。その後もミドルキック、逆水平チョップでジェットの上半身をぐらつかせる坂田、館内からはジェットコールの合唱。
一発のミドルキックをキャッチしたジェットはスクールボーイで丸め込む。カウント2で返されるとコーナーに登って坂田にダイビング・ボディーアタック。ふらふらと立ち上がる坂田に追い討ちの延髄斬りから垂直落下式ブレーンバスター。それだけの攻撃を一気に食らっても坂田はカウント3を許さない。
走りこんでエルボーを放つジェットだが、坂田は逆水平で反撃し、「殺すんじゃなかったのか!!」と叫ぶ。ジェットも顔面への張り手を返すが、坂田はソバットから遂にスーパーキックを叩き込む! 大の字に倒れるジェット、余裕でフォールに入った坂田だがカウント2。再度見栄を切ってスーパーキックを放とうとする坂田だがジェットは寸前でかわしてジャーマン・スープレックス。もはや本能で放ったとしか言えないようなジャーマンがジェットの最後の攻撃となった。
もう一度スリーパーで締め上げて、ジェットを介錯するようにドラゴン・スープレックスで叩き付けた坂田。カウント3が入り、勝ち名乗りを受ける坂田。うずくまったまま動けないジェット。試合後の両者は正反対であった。マイクを握った坂田、「俺はこんなもんじゃ死なんぞ! 誰が気ぃ抜けてるって? この野郎! 俺はなぁ、いつ何時、何処ででもハッスルしてるんだ!! そんな事もわからねぇのか!!」と叫ぶ。「みんなお前の事応援してるんだよ、ジェット立て!」。坂田の呼びかけに立ち上がるジェット、「本気で坂田に勝つつもりでした。でも、今日は力が及びませんでした。次こそは俺がハッスルで締めてみせます!」と観客に応えた。
最後はやはりこれが出ないと終わらない。坂田の音頭による「3、2、1、ハッスル! ハッスル!」で大会は締められた。試合後坂田は目をギラつかせなかがら「今後? ハッスルするよ、その一言。死なねぇ、絶対死なねぇ」。死の淵から蘇った男の生きざま、それが当日のメインのテーマなのかも知れない。
ハッスルMAN'Sワールドもう一人の男、@UEXILE(ウエザイル)がデビューして2戦目を行った。入場の際「うまい棒」をマイク代わりに歌いながら花道を歩んでくる@UEXILE。リングに立ち、コールを受けた際には場内から大量のうまい棒が投げ込まれる。世界の強豪シリーズと銘打たれたこの試合、対戦相手は巨漢のジョー・メガロドン。レフェリーには「ガマ大王」が就くが、マスクを取ったその人は中村カントク。
メガロドンの攻撃に歯を食いしばって耐えた@UEXILEだったが、カウンターのラリアットから逆エビ固めで絞り上げられるとギブアップ。試合後は中村カントクに屈辱の表情をデジカメで撮影されてしまう羽目に。
「ハッスルあちち」こと大谷晋二郎、「ケツ親父」こと越中詩郎、モンスターJやニセHG等、ハッスルを物語るキャラクターも登場し、集まった450名の観客は心ゆくまでハッスルの世界を堪能した。
「ハッスル」とは張り切る事、気力・闘志をみなぎらせる事。その言葉の通り、当日のリングには「ハッスル」が詰まっていた。「絶対死なねぇ」と語った坂田亘の逆襲が、これから始まる。
(Office S.A.D. 征木大智)
◆『ハッスルMAN'Sワールド旗揚げ戦』
2010年9月10日(金)
会場:東京・新宿FACE(観客450人=超満員)
<メインハッスル 本能寺のHEN!「殺されても、勝つ!」シングルマッチ 時間無制限1本勝負>
○坂田“ハッスル”亘(19分03秒 ドラゴン・スープレックス・ホールド)●若鷹ジェット信介
<セミハッスル ワールドハッスルバウト タッグマッチ 時間無制限1本勝負>
○大谷晋二郎&越中詩郎(17分36秒 エビ固め)●バンビキラー&タイソン・デュクス
※投げっ放しジャーマン・スープレックス
<第3ハッスル @UEXILE世界の強豪シリーズ2 シングルマッチ 時間無制限1本勝負>
○ジョー・メガロドン(5分37秒 逆エビ固め)●@UEXILE
<第2ハッスル スペシャルかけ声マッチ〜モンスターズ・クロニクル〜タッグマッチ 時間無制限1本勝負>
○モンスターJ&人狼(8分28秒 体固め)●モンスター℃&ニセHG ※ムーンサルト・プレス
<第1ハッスル フレッシュMAN'Sワールド タッグマッチ 時間無制限1本勝負>
斉藤譲&○佐藤悠己(10分24秒 体固め)阿蘇山&●白波侑助 ※押さえ込む
◆『ハッスルMAN'Sワールド第2戦』
2010年10月27日(水)
会場:東京・後楽園ホール
詳しくはハッスルオフィシャルウェブサイト http://hustlehustle.com/ まで。