「近年の広島は、シーズン途中でも補強をやります。エルドレッド、キラはシーズン途中に獲得した選手です。広島は育成のチームとしても有名ですが、『チームのためになるのなら』と判断したときは躊躇しません」(ベテラン記者)
今季最多の5連敗を喫した6月8日、広島はリーグ首位の座をライバル巨人に明け渡した。交流戦はまさに鬼門だ。過去9年、96勝134敗10分けと大きく負け越しており、首位で突入した今季も「序盤戦の勢いは止まるだろう」と、大多数が予想していた。案の定ここまで4勝11敗(同時点)は、12球団ワーストである。
「かつて広島が好調なのは『鯉のぼりの季節まで』と言われていました。今は『交流戦まで』と訂正しなければなりません」(同・記者)
野村謙二郎監督の怒りもピークに達した。6月3日の日本ハム戦の敗戦後には「力がないということ。それだけ!」と吐き捨て、足早にバスに乗り込んだ。
「今季はヒドイ負け方をしても、自身の気持ちを整理する意味合いもあったのか、必ず立ち止まって報道陣の質問にも対応していました。“一言”で終わりになったのは初めてでした」(現地入りした報道陣の一人)
打線がつながらないことが失速の原因の一つだが、それは長いペナントレースにおいてどのチームも同じように悩むことであり、時間が解決してくれる。しかし優勝を狙うためには、やはり先発陣のテコ入れはどうしても必要だ。
「大瀬良大地、九里亜蓮の両新人は『6、7月につかまる』と予想されていました。昨年まで大学リーグ戦しか経験したことがないので、そのころにバテがくるだろうとみられていたからです」(前出・ベテラン記者)
前述した野村監督が激怒した日の先発は、左腕の篠田純平。前田健太、バリントンに次ぐ3番手以降の先発投手の不振が長引けば、中盤戦以降の戦いは一層苦しいものになる。
「今季はもう外国人選手を途中補強できません。野手のエルドレッド、キラ、投手のバリントン、ミコライオは外せず、外国人枠の問題で打撃好調のロサリオを二軍に眠らせているくらいですから。二軍には左のリリーバーのフィリップスもいますが、同じ理由で昇格させられません」(同・記者)
ロサリオもフィリップスも、日本人なら即一軍昇格の成績を残しているが…。シーズン途中での緊急補強に動くとすれば、今季は国内トレードしかない。そこで模索されているのが、北海道日本ハムファイターズの“余剰人員”斎藤佑樹のトレードだという。