「交渉がロサンゼルスで行われたからといって、ドジャースが本命とは言い切れませんよ」
こう本誌に情報をもたらしたのは米滞在のスポーツライター。年頭まで、ほぼドジャース入りで固まっていたのを、巨人が横恋慕する形でヤンキース入りにひっくり返すというのだ。
「今回の渡米は交渉というより、信頼するロサンゼルス市内の病院で肩、肘などのメディカルチェックをするのが目的。メジャー各球団は、田中がプロ入り後7年間で1315イニングも投げていることを理由に右腕消耗説を意図的に流し、少しでも契約交渉を有利に運ぼうとしていた。そこで星野監督が懇意にしているロスの病院でチェックを受けたのです」(前出・スポーツライター)
実際、交渉は弾丸ツアーのようなハードスケジュール。交渉場所を1カ所に設定し、各球団とも30分程度という慌ただしさだった。
「このやり方はハリウッドのスターが各メディアの取材に応じるときに使う“上から目線”スタイルで、野球界では見たことも聞いたこともない。まさに“形”だけの交渉ということです」(特派記者)
田中陣営がこれほど強気なのは、既に移籍先をドジャースとヤンキースの2球団に絞りこんでいるからだという。
「ヤ軍入りを勧めているのは、実は巨人の渡辺恒雄球団会長。ナベツネさんは田中の米国流出に最後まで猛反対し、三木谷浩史オーナーにも、メジャー側に負けない年俸を用意して引き止めるべきだと主張していた。結局はかなわなかったが、次善の策として“日本呼び戻し”を狙っているのです。田中を巨人と業務提携するヤンキースに入団させ、2019年オフに松井巨人監督の下で巨人のユニホームを着せる。翌年には東京五輪もありますからね」(同)
次期巨人監督が約束されている松井秀喜氏にとっても渡りに船。古巣ヤンキースへの橋渡しに一役買い、今シーズンから6年間、ヤンキースでプレーした後、東京五輪に合わせ、呼び戻すシナリオである。
なるほど、ヤ軍の条件提示は「6年総額1億ドル(約105億円)」。どうやらキーワードは、契約年数にあるようだ。