地元仙台のテレビ局カメラマンがこう振り返るのは、10月14日に開かれた昨シーズンの日本一球団・東北楽天ゴールデンイーグルス、大久保博元新監督(47)の就任会見だ。まだ監督のユニホームに袖を通す前から立花陽三球団社長との関係がギクシャクしているのがわかった。というより、むしろ強調しているようだったという。
立花社長は一貫して大久保氏の監督起用に反対していた。広告代理店関係者などから大久保氏にまつわるスキャンダル情報が数多く集まり、晴れ舞台に登場した途端、週刊誌やテレビ局のワイド番組の餌食になると予測していたからだ。そうなれば自身の任命責任を問われる。とばっちりは真っ平御免ということか。
「西武コーチ時代の菊池雄星投手に対する暴力沙汰はまだかわいい方で、高校時代のレイプ事件を得意気にテレビ番組でカミングアウトしたことがネットでガンガン話題になっている。東京、所沢、広島に愛人がいて隠し子までいるとも噂されおり、セックススキャンダルの総合デパートのような危険人物。そのことは社長が三木谷さんに十分説明しているはずなのに、そのオーナーの“鶴の一言”で大久保監督が決定したのです。ま、社長としては、最後の最後まで猛反対したことをマスコミにアピールしておきたかったのでしょう」(楽天担当記者)
危機回避能力に長けた三木谷氏のこと。大久保氏が監督に就けば長くは持たないことを知らないはずがない。にもかかわらず、危険極まりない爆弾を抱え込んだのは、この経営者一流の計算があるからだ。自爆テロともいえる“短命政権”を使って、何かとカネの掛かる星野一派の一掃と球団全体のダウンサイジングをもくろんでいるのだ。
三木谷氏は中日・落合博満GMのコストカッターとしての手腕を高く評価しており、大久保氏のミッションもまた、星野一派一掃を中心とした8億円規模の人件費削減に他ならない。
「こんな役は慶応ボーイでメリルリンチ日本証券執行役員から転身した超エリートの立花社長には務まらない。そこで使い捨ての大久保氏に託したのでしょう。大久保氏は三木谷氏の息子に野球を教えるなど家族ぐるみの付き合いをしており、あえて泥をかぶる役を買って出た。今季の楽天は最下位で、これ以上順位を落とすこともない。何だってできちゃいますよ」(大久保氏と親しいマスコミ関係者)
三木谷オーナーは、既に次のシナリオを用意しているという。大久保氏の次の本命は落合博満氏、そして対抗が元中日監督の山田久志氏。ともに東北秋田県の出身だ。事は、筋書き通りに進んでいる。