大坂の持ち味は、日本人離れした体格とパワー、そしてスピードだ。いずれも中南米・ハイチ共和国出身の父親譲りのものだが、実は彼女、“清貧のナニワ節”で這い上がってきた選手。
「彼女はアカデミー出身のエリートではありません。ジュニア大会にも出場せず、下部の無名大会でコツコツとやってきた叩き上げの選手です」(特派記者)
テニスに限らず、近年のスポーツ組織は、幼少期から英才教育が行われ、全国から有望な人材をアカデミーに集めてふるいにかける。そこで生き残った者が“世界のステージ”へ上がる図式だ。しかし、大坂はそのエリートコースを歩んではいない。
「父親もテニス経験者ですが、一流プレーヤーではない。彼女も年上ばかりを相手に、ボロ負けを繰り返してきました」(関係者)
また、テニス界では14歳以下のプロ宣言が認められていない。大きな国際試合では、17歳まで出場できない大会もある。
「そのためテニス界では、15歳から17歳を対象に、次世代の有望株の発掘も行われる。そこで、“アカデミー出身のエリートを打ち負かす骨太な選手がいる”と目を付けられ、大坂にもやっと光が当たった。年上相手に戦ってきたことでパワーとスタミナはピカイチでしたからね」(同)
サーブは女子では最速レベルの200キロ超えも計測する。あの錦織圭以上のスピードだ。
「今では協賛企業の援助も受けられるまでになりましたが、公園での練習も続けています」(同)
アメリカでの生活が長かったため、まだ日本語は片言の大坂。公園で培われた雑草魂には好感が持てるが、大観衆を前にすると緊張してしまう一面もあるという。
大坂は、「東京オリンピック」に出場するのが夢と語っている。これから2020年に向かって確実にランキングを上げてくるはずだ。褐色のクイーン・大阪が“雑草魂”で栄冠を掴み取る可能性は限りなく高い。