今大会のメーンに登場するボブ・サップとジョシュ・バーネットの視察を終え、滞在先の米ロサンゼルスから帰国した猪木を待ち受けていたのは、TVカメラを含む大勢の報道陣。お目当ての話題は、一部で浮上している衆院選に出馬するか、しないか。
だが、これら政界復帰については「あまり具体的な話はできない」「いまさら俺が国政に出ても何もできないってのもある。でも世の中が乱れたときが俺の出番」などと明言を避け、どっちつかずの歯切れの悪いコメントに終始。
しまいには話すことがなくなったのか「出馬というより応援に行ってあげたい若い候補はたくさんいる。自民党、民主党を問わずね」と話をすり替え、報道陣を煙に巻いた。
政界復帰話に対して歯切れの悪いコメントに終始するのも当然。今後のIGFを占う2周年記念興行まで5日を切り、猪木は「いまは9日の興行のことでいっぱいいっぱい。いろんなことを自分でやらなきゃいけないから」。それこそ大会前のこの時期に政界復帰パフォーマンスなどしている場合ではない事ぐらい、本人は百も承知だ。
それだけに、会見では今大会の目玉戦士で再生を図るサップに触れ「サップは燃えているよ。ここで暴れてアツくなってもらわないといけないからな。ムッフッフ」と闘魂注入で覚醒したことを示唆した。
ただ、旗揚げから2年を迎えるいまなお肝心のリングの話ではなく、スポークスマン猪木のパフォーマンスばかりがクローズアップされるのはいただけない情勢。こうした話題にリング上の話がかっさらわれているようでは本末転倒といえる。
最後は「9日のリング上ではおもしろい話をします。北朝鮮の話もありますし…」と意味深予告を放って集客も呼びかけたが、旗揚げから2年がたつというのに猪木が旗振り役をしなければならないのは“痛ましい”限り。果たしてアントンはファンの期待を裏切らない「面白い」ものをみせられるのだろうか。