「首相は長嶋さんの前でも『僕はアンチ巨人』と言ってはばからない筋金入りのヤクルトファン。それも父親(故安倍晋太郎元外務大臣)の代からの2世代にわたる“燕党”です。今回のダノンとの事業提携契約解消についても、これが元で球団売却やフランチャイズ移転に発展しないか、と懸念している。もうひとつ、首相が心を痛めているのが長嶋茂雄氏(巨人)へ国民栄誉賞を授与したことで、400勝投手の金田正一氏(国鉄=現ヤクルト)にも、という要望がスワローズファンから数多く届いていること。そこでミスターが松井秀喜氏とのW受賞だったように、金田氏もまた現役引退のイチローとセットで、という案が現実味を帯びてきた。そのうえでイチローがヤクルトの監督に就任すれば、ヤンキースVSメッツの“サブウェイ・シリーズ”のような新たな対決構図が生まれ、プロ野球が盛り上がる。まさしくW国民栄誉賞の“第2の矢”です」(スポーツ紙デスク)
気になるのがイチローの契約。昨年12月にヤンキースと2年総額1300万ドル(約13億円)で再契約したことだ。順当なら来季いっぱいまで契約が残り、引退もなければ、日本球界復帰の必要もない。
このオフ、イチローがヤンキースでのプレーにこだわったのは、理由が二つあったという。開幕前で残り116本に迫った日米通算4000安打達成と12年間の大リーグ生活でまだ一度も手にしていないチャンピオンリング(ワールドシリーズ制覇)の獲得。
逆に考えれば、この二つがかなえば現役続行の理由は消滅する。
「念願の4000本安打は今秋に達成が確実だし、ワールドシリーズ制覇もヤンキースがもっとも近い位置にいる。一方、ヤ軍サイドからみれば、右腕骨折で戦列を離れていた2年連続40本塁打のグランダーソン外野手が復帰したことで、この先イチローの出番が減るのは避けられない。そこで日米4000安打を花道に引退してほしい、というのが本音でしょう。それを代弁するように米殿堂入りの準備が進行している。米メディアも『殿堂入り確実な現役5選手』としてジータ、リベラ(ヤンキース)、プホルス(エンゼルス)、トーミ(オリオールズ)とともにイチローの名前を挙げている」(在米記者)
イチローの元には古巣オリックス、故郷愛知の中日も秋波を送るが、「いま、安倍さんのこと、めちゃ応援している」とエールを送った安倍首相本人がスワローズ強化に乗り出したことで、ヤクルトが監督就任先の本命に躍り出た。