「もともと、中日は落合GMの実質監督を描いていた。谷繁兼任監督は当初からダミーだったのです。選手たちも取材陣も、ようやくそれがわかった。いかにも落合らしいイヤラシイ手口ですよ」(スポーツ紙デスク)
沖縄・北谷キャンプでどよめきが起こったのが、第2クール初日の2月5日の打撃練習だった。それまで静観していた落合GMが、荒木がティー打撃を始めると自らバットを持ち、例の神主打法でバットの出し方をアドバイス。3年ぶりの直接指導に荒木は苦笑いしていたが、その後に事件が起きた。
落合GMは隣で練習していた谷繁兼任監督にも声を掛け、お手本のスイングを披露。GMの出過ぎた監督指導にネット裏の偵察部隊も驚いたが、練習中の中日ナインはもっと驚いた。両者の位置関係がくっきりと表れたからだ。これに努めて平静を装ってきた谷繁兼任監督もむっつり。
「どこがGMなものか。落合氏が実質監督」と、偵察メモに書き込んだライバル球団007は「逆に今年の中日は警戒が必要。徹底して張り付きます」と言う。
別の偵察担当者が続ける。
「新チームのキーマンは巨人から移籍してきた小笠原。日ハム、巨人時代と常に練習パートナーを務めた落合GMとの信頼関係は今も揺るがない。落合GMが助言を求める相手は、谷繁兼任監督ではなく常に小笠原道大。最高年俸4億3000万円だった男を3000万円で呼んだ手前もあり、もう一度、花を咲かせたいのでしょう。隠し玉は4番小笠原かもしれません」
黒衣を着てこそ「策士」なのだが、中日の“軍師官兵衛”にはその気などサラサラない。この火種が吉と出るか凶と出るか。