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ウェンディーズの陰で消えた“昭和”…東京タワー大食堂が閉店

 昨年12月31日、ウェンディーズが最後の営業日を迎えた。各店とも、記念すべき最後の日にその味を楽しもうという客が押し寄せ、閉店前に牛肉がなくなった店も出たほどだった。

 その同じ12月31日に、同じく最後の日を迎えた飲食店がもう一つある。東京タワー1階の大食堂「タワー大食堂(タワーレストラン)」だ。

 タワー大食堂は、1958年の東京タワー開業と同時にオープン。当初は東急観光の経営で、名称も「東急タワー大食堂」だった。その後東急観光の社名変更もあり、現在の店名に。座席数は350。ビニール製赤白チェックのテーブルクロスが昭和の食堂を思わせ、どことなく懐かしさを感じさせる。かつては修学旅行などの団体旅行客で賑わっていたが、旅行形態が個人主体に変化している今、団体客が減ってやむなく閉店するに至った。

 12月28日〜31日の間は、各日11時より200食限定で、通常1250円の「カツカレー+ソフトドリンク」を、 500円で提供する感謝セールを開催した。最終日の31日には、家族連れやカップルなどでかなりの賑わいを見せて150人以上が並び、開店時間の11時前に整理券がすべて売り切れたという。11時の開店時に「整理券が終了しました」とアナウンスされると、食堂前では拍手が起こるひと幕も。その一方で、開店にわずかに遅れて来たため入れず、残念そうに帰って行く人も見られたという。テレビで見て食べに来たというカップルや、閉店を見届けるために駆けつけてきたという男性もいた。「ここのカツカレーは辛くなくて、昔懐かしいデパートの大食堂っぽい味」と、子供の頃に来た思い出を懐かしみながら、名物カツカレーの最後の味を楽しんでいる客もいた。

 大食堂という言葉に懐かしさを感じるのは、ある年齢以上の人たちになってきているのだろうか。家族でデパートに行き、昼は大食堂でお子様ランチを食べた思い出のある人も多いだろう。

 そう、デパートと言えば大食堂だった。高島屋ほか老舗で、今でも大食堂を残しているデパートはあるが、デパートで食事をするにも、いまやレストランフロアでお好みの店に入るのが主流の時代。東京タワー大食堂の閉店は、昭和の一時期(戦後の豊かで夢があった時代)が遠くなってゆく今の日本の象徴なのかもしれない。

 映画「三丁目の夕日」のヒットもあり、昭和ブームはまだ静かに続いている。だが、リアルな昭和は確実になくなってきている。

(横浜 六太 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou

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