「西武は中島(裕之=32)と北海道日本ハムからFA宣言した小谷野栄一(34)の両選手にオファーを出しましたが、本命は小谷野の方でした。西武が欲していたのは三塁手で、中島に対しても編成上の理由から『遊撃手では使わない』と告げています」(球界関係者)
中島はアスレチックス2Aでは一塁も守ったが、自身で遊撃の守備に自信を持っている。古巣西武もそれを知らないはずがなく、「サードで」とあえて告げたのは、小谷野の方が欲しかったからだろう。しかし、その小谷野も中島もオリックスに奪われてしまった。
「阪神は昨年オフの時点から中村ノリの獲得を検討していました。DeNAがノリとポジションが被るバルディリスを獲り、『ノリを使う気がないんだ』と察したようです」(在阪メディア陣の1人)
また、阪神は中村ノリの三塁守備能力の高さも認めていた。昨季はマウロ・ゴメス(30)を獲得した際に三塁手として予定していた。その後、ゴメスは一塁しか守れないことが判明し、三塁のポジションは今成と新井貴(現広島)が争い、シーズン途中にも西岡剛(30)をコンバートすることになるなど、最後まで固定できなかった。和田豊監督(52)は西岡を外野にコンバートする構想があり、正三塁手はレギュラーとして定まった選手がいない。
西武、阪神の需要に中村ノリはピタリと当てはまる戦力だが、近鉄、オリックス、中日、楽天、DeNAを渡り歩いた経緯で、これまで首脳陣との衝突が避けられなかった選手でもある。
「ノリに声を掛けるとしたら、最後の手段ということになるでしょう。西武は外国人選手で小谷野を獲得できなかった穴を埋める予定で、アンソニー・セラテリ(31=3Aラスベガス)を獲得しました。当初は三塁も一塁も守れると発表されていますが、近年は外野での出場がほとんどです」(プロ野球解説者)
西武はFA補強に失敗したダメージが響いているようだが、とりあえずの手は打ってある。阪神は競争の末に伸びる選手がいればいいと考えているのだろう。両球団にとって中村ノリは、どうにもならなかったときの最後の手段であり、現時点ではついでのような補強でしかない。だから、調査が進められているといっても、中村ノリは放置プレー状態なのだろう。とはいえ非常事態は起こりうる話。電撃発表はあるかもしれない。