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箱根駅伝の裏舞台! 瀬古が失言で箱根駅伝から抹殺

 柏原竜二の激走で見事、東洋大学が2連覇。改めて「山登り」がクローズアップされた『東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)』だが、解説・瀬古利彦の「問題発言」が大破紋を呼んでいる。

 ここ数年、5区・山登りの走りが優勝に直結する奇妙な展開が続いている。今年の柏原も例外でなく、実にトップとの差4分26秒をひっくり返し、さらに後続を3分36秒も引き離すミラクルぶり。彼の快走が優勝を生んだというのは、紛れもない事実である。
 実際、柏原を除いた東洋大9人の区間順位(20人中)は1区5位-2区10位-3区10位-4区4位-6区9位-7区1位-8区2位-9区10位-10区7位…7区の田中貴章(2年)と8区の千葉優(3年)以外はパッとしていない。まさに、“山の魔人”サマサマなのだ。

 この結果を踏まえ、復路が終了した後に“敗者”の監督から噴出したのが「5区の距離」について。06年(今年で5年目)から、2.5キロ延伸し現状の23.4キロと「最長区間になっている距離を改善すべき」の声が出たのだ。
 「試合後、山梨学院大の上田誠仁監督、東海大の新居利広監督、上武大・花田勝彦監督らが主催の関東学生陸上連盟の青葉昌幸会長に“山登りだけでもキツイ。それなのに最長区間というのは選手の負担が大きく、選手は壊れてしまう”と旧来の長さ(20.9キロ)に戻すよう要請したのです」と、語るのはスポーツ紙記者。
 新規格になってから、5区には“山の神”今井正人(順大)が2年連続で区間記録を樹立し卒業。間を1年空け、その後を受けたのが件の柏原で2年連続区間新。しかも、この5年で今井、柏原を擁した順天堂大、東洋大が3度、覇権を制している。
 確かに、この事実を鑑みれば上田監督らの“イチャモン”も理解できる。が、監督が半ば「負け惜しみ」で口を突くのはいいとしても、テレビ中継の解説者が同様の意見をしてしまったら大問題だ。「箱根駅伝そのものを否定している」と、受け取られても仕方ないところである。

 一体、何のことか−−というと、試合後にあろうことか瀬古までも山学大監督らと同調して「こうなったら1〜4区はいらない」と喋ってしまったのだ。
 もちろん、軽薄な瀬古が後先考えず、口にした冗談だが、関係者にとってはシャレで済む問題ではない。5区の距離延伸は、箱根駅伝を運営していくに当たって重大なポイントになっているからだ。
 「かつて5区・小田原中継所は蒲鉾の『鈴廣』本社前でした。が、現在は『めがねスーパー』前に移転したのです。『鈴廣』は箱根駅伝がメジャーになる前からバックアップしていた有力企業だったのに…。一部では、『鈴廣』と陸連幹部との確執が距離延伸につながった、と囁かれています」(学生連盟関係者)
 資金はもとより試合当日は従業員にボランティアをさせるなど『鈴廣』の箱根魂は、想像を絶するものがある。にもかかわらず、距離が伸びる前までは、これだけの貢献企業をテレビではスポット的にしか紹介してこなかった。どうやら、こういった“配慮の無さ”が重なり陸連幹部との衝突になったようなのだ。

 「距離延伸は(1)小田原中継所(『鈴廣』前)は道幅が狭く交通渋滞を招く。(2)1区間を18キロ(18.5キロ)にすることで、中距離選手にも活動の場が与えられる。(3)タフなコースを経験する事により“箱根から世界へ”羽ばたけるマラソン選手の育成…以上3つの点が要因と言われていますが、場当たり的な理由づけとしか言えないです」(前出・学生連盟関係者)
 その通り、全て矛盾だらけである。
 (1)に関しては「それなら復路は何なんだ」となる。7区の小田原中継所は相変わらず『鈴廣』前だ。復路6〜7区のたすきリレーは瞬間視聴率33.5%と同駅伝中継で最も数字が高かったポイント。4〜5区のリレーより人気がある訳だから交通渋滞も5区以上だろう。
 (2)と(3)について。(2)の中距離云々はナンセンス。18キロは立派に長距離で800メートル、1500メートルを主戦としている中距離選手には酷な距離だ。(3)については、マラソンは42キロで23キロ走ったところでマラソン力には結びつかない。第一、42キロ山登りのマラソン大会など無い。
 場当たり的な表向きの理由からも想像出来るように5区の中継所変更は非常にナーバスな問題が隠れている。一朝一夕の思いつきで解決するような話ではないのだ。 

 解説の瀬古もその辺の事情は分かっているだろうに…。事情通が語る。
 「瀬古は去年の中継も往路で早稲田贔屓の解説をし、制作の『博報堂』からお叱りを受けた。で、懲りもせず今回はこの失言。一部関係者などは“あまりに能天気な瀬古を来年から外せ”とまで言っている。もし、そうなったら、瀬古の今後の活動にも影響を与えないとも言えない話になってくるのです」
 国民的スポーツの裏に蠢く政治力。これが“オトナのハナシ”と片付けてしまえば、それまでだが“オトナに成り切れなかった”元・トップアスリートがその煽りを喰うとは何とも不幸(?)である。
 まあ、これだけの波紋を呼んでしまったのだから、彼にはしっかり反省をしてもらわなくてはいけないところだが…。
 「身から出た錆」とでも言うべきなのか−−。

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