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専門医に聞け! Q&A 酒飲みの脳出血予防は量を減らす事が基本

 Q:友人が脳出血で倒れました。彼は毎日、相当な量のお酒を飲んでいたそうです。幸い命に別状はなく後遺症も軽度ですが、まだお酒はやめていないとのこと。私もけっこうお酒を飲むので心配です。後遺症である麻痺の改善や再発の予防に役立つ薬はあるのでしょうか。(50歳。自営業)

 A:脳卒中には、脳の血管が切れて出血する脳出血と、血栓ができて脳の血管が詰まる脳梗塞に大別できます。お酒をよく飲む人がなりやすいのは脳出血です。

●酒を飲むと血圧が上がる
 お酒は、少量ならリラックスをもたらし、血圧を下げる作用があります。ところが、多量のお酒を飲んで泥酔状態で寝込むと、反作用で早朝に血圧が異常に上昇し、脳出血を起こすのです。
 西洋医学では、脳出血後の治療において、その原因は考慮されません。脳出血の発作が起きた後に血圧がまだ高ければ、降圧剤を処方するなどの対症療法が行われます。
 一方、漢方医学では、原因や目的に応じた漢方薬があります。
 大酒が原因で脳出血を起こし、片側の手足に麻痺が残っても、まだお酒を飲む懲りない人は実際にいます。
 このタイプに適しているのが『疎経活血湯』です。この漢方薬は、血液循環や水分循環を改善します。痛みを発散する作用があり、関節痛や神経痛、腰痛や筋肉痛などに用います。
 血圧を下げる効果はありませんが、麻痺した側の手足のしびれ、だるさを軽減することが期待できます。

●疎経活血湯がお勧め
 ご質問の方の友人は、今もお酒をやめていないとのこと。疎経活血湯を服用するよう勧めてください。また、ご質問の方も肩こり、腰痛などの症状があれば、同様にこの処方を服用するとよいでしょう。
 この漢方薬は現在、健康保険がききます。エキス製剤も各メーカーから発売されており、薬局などで入手できます。
 ただし、この漢方薬を服用して調子がよくなったからといって、以前にも増してお酒を飲んでは困ります。
 また、それとは逆に、元来元気のない人が脳梗塞を起こし、呂律が回らなくなったり、物忘れが表れた場合は『続命湯』がお勧めです。これは健康保険適用のエキス製剤がありません。
 そこで、他のエキス製剤で代用する方法があります。『越婢加朮湯』と『当帰芍薬散』の2つです。
 朝夕食前に各一包ずつでよいと思います。脳血流改善が見込め、症状の改善が期待できます。
 酒飲みの脳出血を予防するには、お酒の量を減らすのが基本です。そのことをお忘れなく。

牧 典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を実践。小山病院(大阪市東住吉区)院長

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