【第1試合】
“頭突き世界一”富豪2夢路 vs 菅原伊織
約2年ぶりの復帰となった菅原が導かれたリングは、なんと地下プロレスだった。その菅原を迎え撃つのが、地下の牢名主・富豪2夢路。この日もCORE STADIUMは、第1試合から危険な香りが漂い、張り詰めた空気が流れる。
2年間封じ込めた思いを解き放つかのように、蹴りを放ちまくる菅原。夢路はこれを頑として受け止め、キャッチした蹴り脚に頭突きを放つ。そして、夢路の地下の洗礼が始まった。夢路の“地下魂”が込められた張り手、チョップを一発、また一発と被弾するたびに菅原の胸板はミミズ腫れに赤く変色し、口の中はザックリ裂かれ、鮮血が噴き出す。時間をかけて地下の洗礼を菅原に浴びせかけた夢路は、最後は頭突きの連打で地獄のフルコースの締めにかかる。何発もの頭突きを浴びた菅原に、立ち上がる力は残っていなかった。
そして夢路は、横たわる菅原に、掛け軸にしたためた「生きろよ」のメッセージを与えた。このメッセージを、菅原伊織はどう受け止めたか…。
【第2試合】
“人間狂気”紅闘志也 vs “路地裏職人”磯英弥
地下の絶対王者・紅はこの日も絶好調。前戦の梅沢菊次郎との地下世界戦でも炸裂したハイキックが、この日もキレ味抜群であった。絶好調のハイキックが職人・磯の頭部に幾度もヒットし、その都度ダウンを奪う。最後は鮮やかなカカト落としが磯の脳天に命中! 足技にさらに磨きをかける紅の王座、まだまだ安泰か。
【第3試合 地下日本阿吽選手権】
[王者・阿の帯]“JAPANESE OSHO”日龍 vs[挑戦者]“実弾アンダーグラウンド”SEIKEN
去る4月に開催された“タイ地下プロレス”において、“JAPANESE OSHO”として現地で猛烈な人気を博した日龍。帰国後、ここ日本の地下のリングでも“OSHO”人気が盛り上がっているのは、地下フリークならばご存じの通り。勢いにまかせて前戦で入道から阿吽王座・阿の帯を奪還した日龍は、同じく前戦で鮮烈な勝利を飾ったSEIKENを迎え撃つ。
昇り調子同士の激突は、期待に違わぬ好勝負となった。「打撃のSEIKEN vs 寝技の日龍」のイメージがつきがちなこのカードだが、SEIKENのアマチュアレスリングをベースとした寝技もハイレベル。日龍とスリリングな寝技合戦を演じ、そして得意の打撃でも日龍をこれでもかと追い込んだ。
SEIKENの速射砲のような打撃にダウンを奪われ、タイ遠征の盟友であるAIから「和尚、どうした!」とキツい檄を飛ばされる日龍だが、起死回生の一本背負いで形勢逆転。そして自信の新技・日龍スリーパーでSEIKENに大蛇のように絡みつき、タップアウトで勝利。王座防衛に成功したが、それにしても“JAPANESE OSHO”には、やはり阿吽の帯がよく似合う!
【メインイベント】
紅闘志也 & “Mr.BD”後藤達俊 & “Queen Da Bitch”AI
vs
富豪2夢路 & SEIKEN & “求道妖怪”入道
“Mr.バックドロップ”後藤達俊は、実は地下のリングに一度登場したことがある。
それは一昨年の8月2日、所も同じCORE STADIUMの『EXIT-19 CORE:D』の全試合終了後のことだった。怖く激しい地下の闘いに魅入られた後藤は、私服姿のままリングに上がり、選手たちと握手を交わした。
そして過ぎ去った2年もの月日。しかしMr.バックドロップは、自らが残した言葉をけっして忘れてはいなかった。
「面白ぇな地下プロレス。いつか上がりたいよ」
後藤の地下初参戦を祝うかのように、パートナーとして紅&AIの“人間狂気兄妹”が脇を固める。規格外の破壊力を孕む3人の迫力に、CORE STADIUM全体が息を呑んだ。
かくして試合は、後藤と夢路、二人の“金髪鬼”の重厚なレスリングで幕を開けた。
しかし試合は、あっという間に「静」から「動」に塗り替えられた。空気を一変させたのは、AIの容赦なさすぎる蹴りであった。ヘビー級の夢路相手にもまったく物怖じせず、SEIKENを遠慮なくフルボッコにするその姿は、夜叉か般若か地獄の鬼か。瞬く間に、破格の存在感でCORE STADIUMの時空を制圧してしまった。
そしてAIは、試合の勝利にもアシスト。後藤が伝家の宝刀・バックドロップを喰らわせんと夢路の腰を抱え、そうはさせじと夢路が腰をぐっと落とす、緊迫の攻防。この中に割って入ったAIは、目の覚めるようなハイキックを夢路の首筋に一閃! 後藤は夢路を、地下の漆黒のマットめがけてバックドロップで投げ飛ばす! そしてすかさず紅が入道にヒザの雨あられを浴びせ、戦慄のKO勝利。規格外トリオが、あまりにも強引に試合を終了させてしまった。
試合後憤懣やる方ない夢路は、怒号を浴びせAIに襲いかかり、リング上は恐竜たちの乱闘の狂宴と化す。ヘビー級の男たちを本気でキレさせるAIの凄まじさ、“本物”としか言いようがない。まさに“史上最狂のミックスドマッチ”であった。
全試合結果は以下の通り。
◆地下プロレス『EXIT-EXIT-73 CORE:W』
2011年5月8日(日)開始:18:00
会場:東京・新宿歌舞伎町二丁目「CORE STADIUM」
<第1試合>
○富豪2夢路(8分10秒 TKO)●菅原伊織 ※頭突き
<第2試合>
○紅闘志也(7分05秒 KO)●磯英弥 ※カカト落とし
<第3試合 地下日本阿吽選手権>
○[王者・阿の帯]日龍(7分28秒 グラウンド日龍スリーパー)●[挑戦者]SEIKEN
※日龍が保持する「阿の帯」が懸けられる。
※日龍が阿の帯防衛に成功。
<メインイベント>
○紅闘志也、後藤達俊、AI(14分42秒 TKO)富豪2夢路、SEIKEN、●入道
※試合はすべて時間無制限一本勝負。KO、ギブアップのみで決着。
地下プロレスtwitter
http://twitter.com/Chika_Wrestling
地下プロレス データベース
http://www43.atwiki.jp/wuw-exit/
梶原劇画で伝承された「地下プロレス」が、この日本に存在した! 闇の闘いを伝える『EXIT』とは何か!?
http://npn.co.jp/article/detail/97320773/