「ところが、新潟県長岡市の2つの福祉施設でこの10月に集団発生した感染性胃腸炎で、患者から検出されたノロウイルスを国立医薬品食品衛生研究所が分析したところ、これまでにないタイプが発見されたのです」(社会部記者)
その後、同じように変異したウイルスが北海道や東京、そして沖縄など9つの都道府県で発見されたのだ。
一方、隣国の韓国でも思わぬ事態が起きている。
ソウルと浦項で発生した食中毒を調査した結果、生産されたキムチや調味料など751トンがノロウイルスに汚染された可能性があるとして、食品医薬品安全庁が回収命令を出したのだ。
「つい最近、ソウルや浦項の4つの高校で集団食中毒が発生した。原因は安東農協・豊山キムチ工場で生産されたキムチだったが、これが日本でも問題となっている。実はノロウイルス入りのキムチが、日本にも輸入されている可能性があるのです」(社会部記者)
こうした事象を見る限り、今冬にも日本全土でノロウイルスが大流行する可能性が高い。ノロウイルスの潜伏期間は24〜48時間。吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの症状がある。発熱はそれほどでもないが、子供や老人のいる家庭では2次感染が心配だ。
世田谷井上病院の井上毅一理事長が語る。
「ノロウイルスは感染力、増殖力が非常に強い。感染者の便やおう吐物に大量に含まれていることがあり、乾燥して舞い上がった埃からも感染する。そのため外出先から帰ったら、必ずうがいと手洗いを徹底すること。また、マスクも必須だが、外側は汚いのでマスクを触った手で調理してはナンセンス。食器、まな板、布きん、タオルなどは85℃以上の熱湯で1分以上の加熱が必要です」
ちなみに、アルコールによる除菌では効果はないというから、用心が必要だ。