「しかし、学園の籠池泰典氏の妻が昭恵夫人に宛てたメールで、民進党の辻元清美議員が幼稚園に『侵入しかけた』と指摘され、安倍昭恵夫人の100万円献金問題などは徐々に緩和され始めた。加えて、大阪府や大阪市が3月31日に学園の幼稚園と保育園を立ち入り調査し、籠池氏が運営補助金の一部の不正受給を認めた。これで4月中に籠池氏の逮捕ということになれば、安倍首相、昭恵夫人への疑惑が薄らぐ見通しが立つ。そのため、慌てて4月解散は必要ない、と方針を転換し始めていたところだった」(前出・ベテラン議員)
その一方で、突如湧いた自民党議員の薬物疑惑。安倍首相はA氏が逮捕された場合の自民党へのダメージや、その緩和方法を模索しなければならなくなった。
「最初は、何とか揉み消せないかという話も出たという。しかし今の時代、一度事が発覚すれば、揉み消しても必ずボロが出る。PKOの件も同様。揉み消せたと思った自衛隊の南スーダンでの日報も、どこからか漏れ、事が大きくなってしまった。となると、本当に逮捕されたときの政権への影響をいかに最小限に食い止められるか、その方策を講じるほうが重要だ、となったのです」(前出・自民党関係者)
薬物捜査に詳しい元厚労省関係者はこう言う。
「いくら逮捕された女が薬物を一緒に使用したと言っても、本人の尿検査で陽性反応か、現物を所持していなければ逮捕は難しい。仮に、逮捕情報が流れているのであれば、すでに女が供述した直後に任意で議員の尿検査をするなど、確実な証拠をすでに得ているのだと思われます」
そして、現時点で証拠が揃っていたとしても逮捕されないのは、今が国会の会期中のためだという。
「国会議員は会期中、逮捕許諾決議を国会で得られない限り逮捕できない不逮捕特権がある。許諾請求を得るのは汚職などの疑獄事件に多く、一般的犯罪、特に今回のような薬物疑惑のような事件は、証拠を揃えておいて、後の閉会中に在宅起訴か摘発となる場合が多い。ただし、本人が政治家に強い未練を抱き、頑強に犯罪を否定する場合には、証拠隠滅の可能性などもあるため、逮捕に踏みきるということもあります」(同)
今国会の会期末は6月18日。そこを挟んでの攻防になるわけだ。仮に、逮捕への動きとなれば、その閉会直後の可能性が高い。しかし、その問題が爆発してしまっては、自民党は都議選で一層不利になる。そこで考えられるのは、逮捕を潰すのではなく、捜査機関に対して「選挙に影響のない捜査手法を取らせる」圧力だという。
選挙を差配する自民党本部の選対関係者も言う。
「都議選の告示は6月23日で、国会閉会から5日後。薬物議員? まあ本当かどうかは別にして、捜査機関はおそらく都議選への配慮から、逮捕するにしても7月2日の投開票以降とする可能性が高いんじゃないか。万が一、国会閉会と都議選告示の隙間で逮捕ということもありえるなら、6月22日まで4日間、国会を延長する。今国会後半は、共謀罪と天皇陛下の退位を可能にさせる特例法と大きな法案を二つ抱えているし、4日間の延長は自然の流れだ」
そのまま23日の都議選に突入すれば、その間、捜査の動きを止められ、7月2日まで逮捕は“執行猶予”となり、都議選への影響は避けられるという。
「ただし、そうなると7月2日以降に現職議員が逮捕という前代未聞のことが起きてしまえば、解散総選挙はしばらく打てなくなり、結局、安倍政権の支持率はジリジリ下がる。そんな嫌な展開になれば、安倍首相の来年の総裁選にも影響が出て、最悪は出馬できない可能性もある。それを断ち切るためには、衆院・都議選のダブル選挙を考えなければならない」(前出・ベテラン議員)
これを仕掛ければ、有権者の意識は国政に向き、都議会自民党のダメージも最低限に抑えられる可能性が高い。薬物疑惑議員がいても発覚以前というわけだ。
しかし、7月2日以降に薬物爆弾が破裂すれば、仮に衆院選で自民党が勝ったとしても、結局のところ安倍政権は追い込まれていく。
「今、野党のほうでも大麻吸引疑惑の大物議員がいるという情報もある。何でもハニートラップに引っ掛かって、大麻吸引の現場写真と音声までとられたという話まで出ているとか。それだけでは逮捕にはならないが、叩かれることは間違いない。となれば、自民党の疑惑も自然消滅ですよ」(自民党幹部)
“籠池爆弾”に続いて、安倍政権を揺るがしそうな“薬物疑惑爆弾”の行方に注目だ。