初興行から2年半が経ったが、健介は現状について「まだまだ足りないことだらけで、足元を見て一歩一歩確実に進んでいきたい。ウチは選手もそうだけど社員も少ないからね。夢をつかむためには地道な努力が必要」と語る。所属選手は健介、中嶋勝彦、起田高志、宮原健斗の4人。まだ所帯は小さいが、スタッフと力を合わせながら前進を続けている。
「夢は日本の隅々まで健介オフィスを知ってもらいたい。佐々木健介と北斗晶の団体で、勝彦がいて起田、健斗という元気な若手もいることを発信したい。プロレスラーとしてデカイ会場でやりたいという思いはあるけど、それ以上にそういう気持ちのほうが強い。大きい団体じゃないからこそ、そうした夢を抱いているのかもね。どんな田舎に行っても愛されるような団体になりたい」
健介オフィスは現在、月に一度のペースで、道場でホームタウンマッチを行っている。大会の主眼は選手の育成で、若手主体の大会になる。
「たまにオレが出て刺激を与えているけど、基本的には勝彦たち任せの大会。精神的な部分を鍛える意味で『自分たちがやらなきゃいけない』という責任感を植えつけたい」
ホームタウンマッチにはもう一つ目的がある。地元に根付くことだ。吉川の人たちとともに健介オフィスを発展させていきたい健介は「せっかく事務所がある吉川を、もっと知ってもらいたい。他県から見に来てくれる人もいるので、試合だけでなく、この町の素朴な良さを見てもらいたい」という。ちなみにホームタウンマッチはスペース上、200人弱で満員となるが、料金は大人2000円、小人1000円とお手ごろで、毎回ほぼ満員の入り。入場口では北斗がチケットもぎりをすることもあり、手作り感、アットホームさが漂う。
「ホームタウンマッチには、小さい子供からおじいちゃんまで見に来てくれる。ある時、おじいちゃんが『プロレスを見るのは本当に久しぶりで、力道山以来になる。プロレスを見ようとしたら東京に行かないといけないでしょ。でも歳なので行きづらい。ここでやってくれてすごく感謝しています』と言ってくれて…。自分たちにとってはすごく嬉しい言葉だった。そういう人たちのためにもホームタウンは大切にしていきたい」
着実に地元に浸透しつつある健介オフィス。今年はすでに2度後楽園ホール大会を開いている。また、日本の隅々まで名前を知ってもらうために、これまで博多、大阪、札幌に遠征をしているが、今後もタイミングを見計らって地方に進出する予定だ。
「健介オフィスの大会は気軽に来られるような雰囲気にしたい。心から笑えて楽しめる、そういう空気も必要だと思う。だから、吉川名物のなまずをキャラクターにした、なまずマンというコミカルなマスクマンを出しているしね。それだけでも駄目だから、オレや勝彦がバチバチする試合を見せる。今は起田と健斗も数段レベルアップして、それが出来るようになった。笑い、驚き、すごさ。それらがつまったものが健介オフィスだと思う」
さらにこう言葉を続ける。
「オレは自分だ良ければいいという考えは嫌いだから。みんなと一緒に盛り上がれるんだったら、みんなのために頑張りたい。一方通行じゃなくて気持ちの交流があってこそのオレたち。だからオレたちはいま頑張れている」
健介は今後も信念を曲げることなく、一致団結しながら、健介オフィスをより高めていくつもりだ。
◎闘魂でベルト奪取
健介はレギュラー参戦をするプロレスリング・ノアの9・21名古屋国際会議場大会で森嶋猛と組み、GHCタッグ王者のバイソン・スミス&齋藤彰俊に挑戦することが決定している。GHCタッグ王座は初挑戦となる健介だが、戦いを通じて絆を深めた森嶋とのタッグには絶対の自信を持つ。
「オレのいままでのタッグパートナーといったら、やっぱり馳浩とのハセケン、そしてホーク・ウォリアーとのヘルレイザースが大きいと思う。でも佐々木健介&森嶋猛は、その時の気持ちに負けず劣らずのものがある。ベルトを獲って好き勝手暴れ回りたい」とベルト奪取を誓った。
◎健介オフィス
健介オフィスは2005年12月に株式会社化され、翌06年2月11日に健介のデビュー20周年の節目として、後楽園ホールで初の自主興行を開催。同年8月には妻である北斗と住居を構える埼玉・吉川市に道場を設立し、その後も定期的に自主興行を開いている。