笹川スポーツ財団がスポーツ種目別の実施頻度、同時間に関するアンケート調査結果を発表した(3月1日)。10代の男子、4〜9歳の男子児童の人気1位はサッカー、2位はバスケットボール。野球は調査史上初の3位に後退した。同財団はこうしたアンケート調査の他、スポーツ政策の提言などを行っているが、「笹川」と聞いて、ピンと来た関係者も少なくなかった。
「東京五輪の追加種目は、野球・ソフトボール、空手、スケートボードなど5種目に絞られました。この5種目の中から、今年8月のIOC総会で決まります。日本国内では野球・ソフトの人気が一番ですが、世界的な普及、各国と地域にどれだけの広がりがあるかが決定の大きなポイントとなります」(スポーツライター・美山和也氏)
その世界普及の度合いで言うと、世界で競技者人口約6000万人を誇る『空手』がもっとも有利とされ、元自民党総務会長で全日本空手道連盟の会長を務める笹川堯氏が発起人となり、“空手当確”を応援する議員連盟も立ち上がっていて('14年6月)、同連盟には官房長官・菅義偉代議士も名を連ねている。
しかも、今回の“野球陥落”のアンケート結果を出した笹川スポーツ財団は、笹川堯氏の弟・陽平氏が実質取り仕切っており、理事などには荒木田裕子氏らの東京五輪組織委員が名を連ねている。
「空手有利、野球・ソフト劣勢」の風潮が作られたというのは、うがった見方だろうか。
「昨秋からの野球賭博問題は、新たに巨人の高木京介投手も関与していたことが判明。清原和博容疑者の覚醒剤逮捕で野球界は激震に見舞われました。NPBはIOC傘下のアンチドーピング機構には加盟せず、独自の薬物検査をしてきた。きちんと調査をしていましたが、野球界は甘いと見られても仕方ありません」(ベテラン記者)
政治力で優る空手が追加種目に決定する風潮もできつつある。野球ファンには、つらいアンケート結果となった。