「僕のことをいちばん知っているからね…」
DeNAのアレックス・ラミレス監督(41)のことだ。同僚として、4年間いっしょにプレーしている。高橋監督は自身の性格をラミレス監督に知られており、代打や投手継投などを読まれてしまうだろうと考えていた。見方を変えれば、高橋監督もラミレス監督の性格は分かっている。今季の両球団の対戦は『心理戦』になりそうだ。
「ラミレス監督は巨人戦を意識したような発言もしています」(プロ野球解説者)
ドラフト1位ルーキー、今永昇太(22=駒大)を巨人戦でデビューさせたいと言う。
「巨人に勝つことで彼も勢いづく。だから…」
今永が大学ナンバー1左腕と称されながら、DeNAの単独指名となった。大学最後の2015年は故障から復帰を目指す1年となり、本来のピッチングができなかった。それに加え、ドラフト候補は「豊作の年」とされ、「不安要素が残るのなら、他の候補へ」と1位指名を見送った球団も出た。
その今永はドラフト後の東都リーグ入れ替え戦で、被安打3、奪三振12の好投を見せている。「完全復活」を信じて疑わなかったDeNAスカウト陣の眼力を立証するようなピッチングであり、ラミレス監督のコメントも、
「ローテーションの軸として活躍してくれると信じている」
と、さらに期待を高めるものと変わった。
巨人関係者の一人がこう言う。
「ラミレスが巨人戦で今永をデビューさせるなら、高橋監督もそれに相応しい舞台を用意するのでは」
巨人も1位指名の桜井俊貴(22=立命館大)をDeNA戦でデビューさせるかもしれない。巨人はドラフト会議1週間前、1位候補を数人に絞り込んだが、結論を先送りした。そして、山下哲治スカウト部長自らが対関西大の試合を視察し、最終決断を下したという。「失点1、206球で延長14回を一人で投げ抜いたスタミナ、試合終盤でも球速をほとんど落とさないストレートが決め手になりました」(同)
桜井が大会タイ記録の18奪三振を奪った明治神宮大会初戦は、高橋監督も視察している。高橋監督も当然、桜井の先発ローテーション入りを期待している。第2節、DeNA3連戦の初戦に1位ルーキーを抜てきしてくるかもしれない。
「今永は自身の1位入札がDeNAだけだったことを受け、他球団の1位選手に敵愾心を抱いているとも聞いています。桜井は公立校から立命館大学に進んだ叩き上げです。もし対決が実現すれば、両投手とも意地の張り合いになるでしょう」(前出・プロ野球解説者)
1位ルーキー同士の激突。期待感の膨らむ遺恨試合なら、ファンも大歓迎だろう。
ラミレス監督はDeNA投手陣に対戦バッターへのインコース攻めを徹底させるとしている。高橋監督は大田泰示、岡本和真の育成に重点を置いている。両球団の試合では絵になるような「投手対打者」も見られそうだ。