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過払い金請求ブームが去って再び危ぶまれる闇金の急増

 かつて貸金利息の上限を制限する法律は『利息制限法』と『出資法』というダブルスタンダードが存在し、いわゆる“グレーゾーン金利”の温床になっていた。2010年に『改正貸金業法』が施行され、このグレーゾーンは完全撤廃されたが、影響をモロに受けたのはサラリーマンや事業者向けの貸金業者で、その多くが廃業を余儀なくされた。
 「この間にブームになったのが『過払い金返還請求』です。長期間にわたってグレーゾーン金利での借り入れと返済を続けていた場合、法律上、借入金の返済は終わったのに過払いになっていることが多かった。そして今、新たに問題視されているのが、この返還請求により手元に戻ったお金が底を突き、再び借金に走る元債務者が多くいることです」(貸金業関係者)

 日本貸金業協会が年に一度行っている借入利用者向けアンケート調査によると、個人は減少傾向にある一方、個人事業主は“ヤミ金”など非正規業者との接触経験のある割合が13.5%('15年度)と、前年比で3.6%も上昇しているのだ。
 「再び借金頼みに戻った個人については、それでも銀行のローンを利用する手があります。しかし、事業者向けについては業者が淘汰された後、代わりとなる受け皿がないのが現状です。その結果、データにあるように個人事業者はヤミ金に走りやすいようです」(同)

 ヤミ金といえば、トイチ(10日で1割)やトサン(10日で3割)といった法外な金利で債務者を苦しめる業者を指すのが一般的。当然、正規業者が行っている都道府県への登録もしていない。その多くは暴力団の資金源ともいわれ、最近では超低金利を誘い文句に申込書だけ書かせて個人情報を盗む“詐欺”も横行しているという。
 「債務者の多くは、長年にわたって個人情報をさらしてお金を借りることに慣れきっているため、自分の個人情報を守ろうという意識が薄いのです」(同)

 個人が頼る銀行ローンも問題がないわけではない。収入の減ったサラリーマンや主婦が利用する銀行のカードローンは、貸金業法の対象外であるため「借入金は年収の3分の1以下」という総量規制を受けない。そのため、新たな多重債務者の温床になるのではと懸念する声も出ているのだ。
 貧困層拡大が再び多重債務者を増加させるという構図−−。これがアベノミクスの裏側なのかもしれない。

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