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キャンプ情報 2012年大混戦の予兆 中日編

 大人の集団とでも言うべきだろうか。高木守道・新監督は一歩引いたところから全体を見渡し、選手たちは「自分たちは何をすべきか」を分かっている。コーチの指示がなくても、動ける−−。大人の雰囲気が醸し出されていたのが、中日のキャンプだ。前任者の時代もそうだったが、このチームの「練習の辛さ、激しさ」は分かりにくい。野手はひたすらバットを振り、投手陣は懸命に走り、そして寡黙に投げ込む…。
 他球団では、「監督が成長著しい若手をマンツーマンで指導する」、「個人ノックをする」などの“ファンサービスを兼ねたパフォーマンス”も繰り広げられるのだが、中日キャンプはそうではないのだ。

 関係者によれば、昨季の得点力不足を解消するため、『特別発注のボール』が打撃練習で使われていたという。見た目は公式球と同じだが、「重さは300グラム」とのこと。公式戦で使われるボールの約2倍だ。主力選手はその効果もほとんど語ってくれないが、バットのヘッドスピードと、ボールとバットが当たる瞬間のパワーアップが目的とされている。
 前指揮官時代がとくにそうだったが、こういう「目に見えない激しい練習」が特徴でもある。

 そんな大人の集団のなかでも、しっかりと自己アピールができていたのが、ドラフト1位ルーキー・高橋周平内野手(18)だ。高木監督は『一軍戦力』として見ている−−。対外試合でもバットで貢献しているのは既報通りだが、そう確信したのは、高橋がショートのポジションでもノックを受けていたとき。指揮官は「体格的にサード」と“打撃優先”の育成方針を各メディアにコメントしてきたが、『ショートの準備』もさせているということは、井端弘和のスペアとしても見ているのだ。高木構想では再び『二塁・荒木、遊撃・井端』に戻すという。前監督はこの2人のポジションを入れ換え、『二塁・井端、遊撃・荒木』の内野布陣を作ろうとした。しかし、この二遊間コンビも30代半ばに差し掛かり、慣れ親しんだ元のポジションに帰ったとしても、故障も抱えている。2月3日には高木監督自らがこの高橋の指導に当たったとも聞いている。選手を「大人扱いするチーム」だけに、まさに異例の光景だったという。厳しくチャックされていたのが、「6-4-3」の併殺プレーにおける二塁手へのスローイングやトス送球のタイミング。現行として、三塁には森野将彦がいる。三塁、遊撃の大先輩たちを押し退けてスタメン出場するのは厳しいが、キャンプ中盤に入ったこの時期、「高橋に二塁の練習もさせておく」といった声も、中日内部から聞こえてきた。守備力なら、岩崎達郎の方が上かもしれない。だが、この高橋に対し、「大先輩たちに何かあったら、オマエが行くから緊張感を持って待機しておけ」ということで、実戦経験を積ませていくつもりなのだろう。
 
 高橋の長所は打撃力だが、ファンの期待に水をさすようで申し訳ないが、「1年目は苦労する」のではないだろうか。“実戦デビュー”となった11日の韓国LG戦では、第4打席に右中間を割る二塁打を放っている。甘い直球を見逃さない姿勢はもちろん、その打球の速さに他球団の偵察部隊も驚いていたが、第1、第2打席を見る限り、一抹の不安を感じた。両打席とも三振を喫したのが、対応できなかった3ストライク目は全て変化球だったのだ。第1打席は緩急を使われ、空振り。第2打席は低めの変化球の曲がり具合に対応できず、見逃し…。第3打席はセカンドゴロだが、見逃せば、「ボール・カウント」だった。変化球を捨て、直球にヤマを張ったものの、相手バッテリーは見透かされ、ストライク・ゾーンには投げてくれなかったのだ。
 「甘いところにくれば、確実に仕留める」力があることは第4打席で証明している。高橋が大先輩たちの有事でフィールドに送られた後、高木監督に「明日も使いたい」と思わせるには、プロ投手の変化球に対応できるようにしておかなければならないだろう。
 17日のシート打撃でセットアッパー・浅尾拓也と対戦した。結果はレフトフライだが、その『打球の質』に驚かされた。浅尾が投じたのは直球だったが、左打者が流した打球とは思えないほどの飛距離であり、「伸び」も感じられた。反対方向に“強い打球”が打てるのは、一流の左打者の証とされている。

 投手陣だが、全体的にスロー調整の感がある。2年目の左腕・大野雄大が目立っていた。ストレートの威力は一級品である。脇で見ていて、「怖い」くらいだった。アマチュア時代からストレート勝負をしても負けない豪腕で知られていたが、権藤博・投手コーチの構想にすでに入っているのではないだろうか。大型補強に成功した巨人よりも、中日の方がブキミである。

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