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大迷走のマクドナルドが日本からの“撤退”を決断する日

 日本マクドナルドがジリ貧地獄にあえいでいる。先に発表した6月の既存店売上高は前年同月比8%減、客数は10.7%減と、ともに大幅ダウンだった。5月末からサッカーW杯のスポンサーとして出場国にちなんだ限定メニューを投入したが、客離れは止まらず、売上高は5カ月連続、客数に至っては14カ月連続の前年割れである。
 「マックは今年の1月、既存店売上高が7カ月ぶりでプラスに転じたのですが、これは久しぶりの大型キャンペーンとして期間限定メニュー『アメリカンヴィンテージ』を投入したことが奏功しました。前年は目立ったキャンペーンを打たなかった分、今年のハードルは低かったにもかかわらず、それでも1月の客数自体は9.7%減だったように、今やマックの集客力は大きく落ち込んでいる。これ以上、お客に見放されればアメリカの本社は黙っていないでしょう」(証券アナリスト)

 ワンコイン商品の先駆けとなる「100円マック」を投入し、一時は“デフレ下の勝ち組”と称賛されたのも今や昔。2012年12月期、'13年12月期と2期連続の減収減益に陥り、その後も迷走が止まらない日本のマックは、いまや米国本社の頭痛のタネと化しているのだ。

 マックが業績悪化に苦しんでいた'04年、米本社はアップルコンピュータジャパン(現アップルジャパン)社長だった原田泳幸氏を社長に“一本釣り”した。その荒療治で業績が急回復したのに伴い、世間は「原田マジック」と褒め称えたが、業績に陰りが見えた昨年8月、米本社は年度半ばだったにもかかわらずサラ・カサノバ氏を事業会社の社長に抜擢。その揚げ句、今年3月には持ち株会社(HD)の会長兼社長だった原田氏を代表権のない会長に棚上げし、事業会社のサラ・カサノバ社長が後任ポストに就く人事を断行した。
 「米本社は原田会長兼社長をマック迷走の“A級戦犯”と看做してテイよく追放、各国のマクドナルドを渡り歩いてきた叩き上げのカサノバ氏にかじ取りを託したのです。米本社としては“経営者失格”の烙印を押した原田氏が、その後に就任したベネッセHDの会長兼社長として、いきなり顧客情報流出という大失態の矢面に立たされていることにはもはや無関心とはいえ、手腕を見込んだカサノバ氏が思うように業績回復の手応えをつかめていない状況は、いかんともし難いでしょう」(同・アナリスト)

 一体、何が日本マクドナルドをジリ貧地獄に追い込んだのか−−。
 家族連れをメーンターゲットにするファミレスやコンビニなどに顧客が流出したことが大きな理由に上げられているが、「マック固有の事情もある」とウオッチャーは指摘する。

 原田会長時代のマックは直営店のフランチャイズ(FC)化を積極的に進めた。FC化に伴い自社保有の店舗を売却すれば売上高がカサ上げされ、人件費も要らず好決算に直結するのがミソ。反面、積極的なFC化はスタッフのモチベーション低下を招く。前出のウオッチャーが喝破する。
 「直営店でマック社員として働くのと、FCの店員として働くのとではプライドからして違う。これがサービス低下を招き、顧客離れにつながった。外部から落下傘で舞い降りた原田さんは現場を知らず、決算マジックの演出にウツツを抜かしたのです。そんな保身策にドップリ浸かったことが今日のマックを招いた最大の原因といっても過言ではありません」

 10年に及んだ原田体制の下、現場を知り尽くした多くの人材が「素人経営者には付き合い切れない」とばかり、ライバル企業などに次々と流出していったという話もある。米国本社は昨年8月の時点で、やっと“原田マジック”の本質に気付いたようだが、これぞ後の祭り。だからこそ、前述した通り当時のHD原田会長を代表権のない会長に棚上げすると発表したとはいえ、原田マジックの本質には言及しなかった。「もし言及すれば長年にわたって黙認し、原田体制を支えてきた米本社が『野放しの責任を取れ』と株主から突き上げられる」(関係者)からに他ならない。

 カサノバ社長の下、マックが依然として厳しい経営を強いられていることから市場の関心は米国本社が繰り出す“次の手”に移っている。強力なブレーンを送り込んでカサノバ体制を支えるか、それとも“脱デフレ”に踏み込んだ日本に見切りをつけての撤退か。
 「マックは不採算店の閉鎖に加えて朝方の生活スタイルが広まってきたことから24時間営業店の削減に踏み切った。それでも目立った成果が得られなければ、米本社が日本撤退カードを切らないとも限りません」(経済記者)

 日本上陸から43年。マクドナルドが外資である以上、いつドライな判断が下ってもおかしくはない。

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