昨年WWEと契約を結び、2軍のFCWから昇格をうかがっていた山本が、6月末に1軍の舞台となる「ECW」でデビューした。その快挙は日本でも日本テレビのワイドショーで取り上げられるなど、暗い話題の多いプロレス界に明るい話題をもたらした。
初戦から元US王者のシェルトン・ベンジャミンをハイキック一閃で破る華々しいデビュー。トップ戦士相手に初陣を飾ったことからも、団体サイドの期待の高さがうかがえる。
新日本時代の山本といえばことごとくチャンスをモノにできなかった。棚橋弘至や永田裕志と組んでIWGPタッグ王座に挑戦するも、一度もベルトを腰に巻くことはできなかった。
そんな男が、FCWでの1年の下積みを経て、YOSHITATSUとして花開いた。本人が明かしたところによれば、このリングネームはFCWでエージェント兼実況コメンテーターを務めるダスティ・ローデスから「ある日いきなり呼ばれて『今日からお前はヨシ・タツだ』と決められた」とのこと。父親の「芳龍」からとった説や、スーパーマリオに登場するキャラクター「ヨッシー」とドラゴンの「龍」を組み合わせてヨシ・タツになったなど諸説あるが、結果的にこの由来のよく分からない名前が良かったのかも。
新日プロ関係者が指摘する。「ヨシタツがこの先どこまで活躍できるかわかりませんが、当時のWWWFで活躍した藤波さんを超えるような偉大なレスラーになるかもしれないよね。まあ山本と藤波さんは性格的に似ているところもあるし、ある部分で何を言われても動じないから。向こうで大成するならそれぐらい神経が図太くないとね」。世界最高峰の舞台で飛躍を続ける第2のタツが、スーパースターとして日本凱旋を果たす日が待ち遠しい。