このタピオカ店恫喝騒動は、勃発してからしばらくはテレビで報じられなかったが、ネットでは日に日に注目度が上がっていった。
木下と言えば、若い世代のファンからは「理想のママタレ」として人気を集めていた一方で、ネットでは「元ヤンキャラ」や「おバカキャラ」などに嫌悪感を持つアンチも少なくなかったようだ。
一般的にイメージされるヤンキーと言えば、短気で暴力的、またはそれをアピールする傾向があり、至って自己中心的な理由から、恫喝や脅迫といった反社会的行為によって脅威を与えるといった印象がある。そして、ネットではこれを“DQN(ドキュン)”などと呼んで揶揄する者も多い。
木下もそう呼ばれていた「おバカキャラ」は、読解力や知識の乏しさを売りにしていることもあるが、“世間知らず”“常識がない”というイメージを持たれることもあり、ネットではこれも侮蔑の対象となりやすい。
片や、匿名性の高いネットで日常の多くの時間を過ごす者(以下“ネット民”という)は、一般なイメージとして、現実世界では目立つことが苦手で、知的で理論的な印象があり、暴力とは縁遠く、現実世界で大手を振って歩くヤンキーとは相反する性質を持っている。
この両者が現実世界で顔を合わせる時、一方的にストレスを与える側と、与えられる側という理不尽な関係性となってしまうことが多い。これが後者の嫌悪感や敗北感に繋がる原因とみられる。
ところが、今回の一件を見ても分かるように、匿名性を利用することで返り討ちに遭うことなく、ヤンキーに心理的ダメージを与えることができるネット世界では、同志を無数に集めることも簡単にでき、圧倒的に優位に立つことができる。多くの同志と協同して相手の無知で軽率な失態を叩き上げ、恥をかかせることで達成感を得ているような側面もある。
また、木下にしても木下の所属事務所にしても、失態に対するあからさまな隠蔽行動がネット民の勢いに拍車を掛けていたようだ。
木下は恫喝DMばかりか口止め交渉と見られる内容のDMまで拡散され、消したはずのタピオカ店に対する風評記事を掘り起こされ、これもまた拡散されたりと、ネット民による“消すと増える”現象(または「ストライサンド効果」)によって、隠蔽しようとした事が続々と明らかにされていた。
これら一連の騒動の火消しに奔走していたと言われる事務所だが、騒動後番組に出演するたびに炎上し、スポンサーからはCM動画削除という実害が出てしまうなどしていたためか、騒動の発端から約2か月後に木下は自粛を発表。「木下を自粛に追い込んだ」と、ネットは“勝利”のムードが漂った。
今、一旦は鎮火しているものの、今後復帰となった時の出方次第では、ネット民がまたファイティングポーズを取ることもあるだろう。今後の木下の動向に注目が集まる。
文:心理カウンセラー 吉田明日香