今年の1・4東京ドームを機に本格開戦した新日本とNOAHの全面対抗戦だが、両団体の扉はこれまで長く凍りついた状態が続いていた。永田裕志と秋山準のパイプから交流が始まったのが2001年。その後、新日本とNOAHは何度となく対抗戦を行ってきたが、サイモン猪木氏が新日本の社長を務めた05年下半期ごろから関係が悪化。以降、団体間の扉は閉ざされた。
その扉が再び開かれたのが昨年9月。新日本のジュニアタッグチーム、裕次郎&内藤哲也のNO LIMITがNOAH9・6日本武道館大会を訪れ、当時のGHCジュニアタッグ王者・金丸義信&鈴木鼓太郎を挑発。この流れから9・27大阪大会で同選手権試合が行われ、約4年ぶりに両団体の主義主張がリングで交わった。
ジュニア戦線で勃発した対抗戦の炎はヘビーにも飛び火。現IWGPヘビー級王者・中西学が専修大の後輩であり、因縁浅からぬ秋山準との対戦を口にしたことで、両団体の交渉は進み、09年1・4ドーム大会で中西VS秋山という現時点では両団体のトップに立つ二人のシングル、そして中邑真輔&後藤洋央紀VS三沢光晴&杉浦貴のタッグ戦が実現した。
1・4ドームでの両団体の戦績は1勝1敗となったが、敗れた杉浦が対抗戦における勝負強さを遺憾なく発揮。その後も杉浦は新日本との闘いには積極的に出陣。勝利と内容を新日本ファンに見せつけ、その結果、6・20大阪ではIWGPヘビー挑戦経験もある後藤戦を実現させた。
「待ち遠しいね。結果は当たり前。勝つと同時に新日本のファンにスゲーって思わせる試合をする」
不敵に言い放つ杉浦は、勝利と内容を残すことで狙うものは何か? 新日本の至宝IWGPヘビーだ。かねて杉浦は「新日本の選手全員とシングルでやりたいね」と放言していたが、それはNOAH勢の誰もが成しえていない至宝強奪を見据えてのこと。
「IWGP? いいねぇ」と舌なめずりする杉浦。いわゆるリップサービスなどではない。本気で至宝取りを狙う構えなのだ。
対する、新日本サイドも現王者・中西が1・4ドーム大会で秋山に敗れているだけに、NOAH勢の挑戦となれば受けて立たざるをえないだろう。また挑戦者・棚橋も、05年7月のNOAH東京ドーム大会で当時のGHCヘビー級王者・力皇猛に完敗を喫したことをいまだに引きずっており、方舟戦士がIWGPヘビー挑戦に動き出すとなれば願ったり叶ったりといった状態。新日本側としてもNOAH勢との頂上決戦は臨むところなのだ。
今後の成り行きが注目される。