試合後の会見では、31年間の長きに及ぶマスクマン人生に関与した、さまざまな人の名前が挙げられた。「僕の前にいてくれた、エディ・ゲレロ、ディーン・マレンコ、ブライアン・ピルマン、ワイルド・ペガサス」と、中には世を去ってしまったライバル、そしてパートナーだった名レスラーに引退を伝えたいと語った。また思い出に残る試合として挙げていた「天国にいる橋本真也」にも当然同じ思いを抱いているとし、会見を後ろから見ていた橋本真也氏の息子でレスラーの橋本大地を呼び寄せ、記念撮影した。
さらに「カルガリー(修行)時代のミスター・ヒトさん、藤原(喜明)さん、(アントニオ)猪木さん、山本小鉄さん、そして永井先生。そういう方々のおかげで今の僕があると思います」と発し、この場に同席した永井豪氏にも直接お礼。
さらに「マスクマンになりたかった。しかも永井豪先生のずっと見ていた、マジンガーZ、グレートマジンガー、デビルマンの(作者の)先生の(作品である)ライガーができる(チャンスを与えるよう)“やらせてください!”」と直訴したことも明かした。これに永井氏も「31年前に“自分にやらせてくれ”という情熱と熱意がすごくうれしくて、即お願いした。その自分の判断は間違いではなく、三十何年もの長い間、活躍してくれて本当にうれしい。ライガーさん自身の戦いは、伝説を具現化している。いつも試合を興奮して見ていました」と賛辞を送った。引退後も「ライガーのままでいたい」と直訴し、永井氏も「そのままでいてください」と快諾。「これからも獣神サンダー・ライガーとして」活動することを明らかにした。
1994年、まだ小規模プロレス団体へのアレルギーがある中、団体の垣根を越えた「スーパーJカップ」を提唱し開催。それによりFMWのハヤブサ(故人)やスペル・デルフィン、TAKAみちのくなど、ステップアップしていったレスラーは枚挙にいとまがない。ライガーが先輩やライバルたちに送った感謝の念は、後を継ぐレスラーたちから続々と届いている。
これからも獣神サンダー・ライガーのプロレス愛DNAは、新日本だけにとどまらず、全国、いや全世界にしっかりと受け継がれていくことであろう。
取材・文 ・ 写真/萩原孝弘