昨年10月、WBC世界フライ級王者、内藤大助(宮田)との一戦で反則を犯し、1年間のライセンス停止処分となっていた大毅がリングに帰ってきた。試合はメキシコのアンヘル・レサゴを寄せ付けずに5回KO勝ち。試合後のインタビューもていねいな言葉で答え、「亀田もなかなか変わったじゃないか」とファンに好印象を与えることに成功した。
完勝の内容だったとはいえ、対戦相手がいつも通り小柄で非力な外国人選手だったことから、試合後の取材では「いつ日本人と試合をするのか」という質問が複数出た。確かに内藤は日本人選手だが、あれは世界タイトルマッチの話。日本人選手を目の敵にする一方で、弱い外国人選手ばかりを選ぶマッチメークこそが亀田問題の原点なのである。
すっかり好青年と化した大毅が「やりたいとは思っているけど、自分は対戦相手を選べるような立場にない」と殊勝な発言をした一方、父史郎さんは「実際にオファーは出してるんやけどな。断ってきよるんや」と意外な事実を明かした。
ひと昔前なら亀田と聞けばオレもオレもと声が上がっていたはずなのに、本当に日本人選手は大毅戦を避けているのだろうか。関係者のひとりが内幕を明かした。
「亀田サイドが、元東洋太平洋フライ級王者で世界挑戦経験もある小松則幸にオファーを出して断られたのは事実。小松もやればいいんだけど、世界ランカーでもない相手とはやりたくないって断ったようだね」
他にも大毅戦を断った日本人選手がいるのだろうか。
「それはないと思う。亀田サイドは小松にこだわっていたらしいよ。実績があって、なおかつ下り坂の小松なら勝てるって計算でしょ。関係者が別の日本人選手の名前を出しても、まったく食いついてこなかったらしい。大毅と試合をしたい日本人ボクサーなんて山のようにいるよ」
パフォーマンスを封印し、言葉づかいを改めた大毅にとって、残る課題は「適切な対戦相手」のみ。試合を見守っていたあるジムの会長は次のように主張する。
「きょうは久しぶりの試合だから弱い相手でもいい。ただ、これからもこういう試合が続くようじゃ本当にダメだよ。真っ当な道を歩み始めたというのなら、まともな対戦相手と試合しなくっちゃ」
本当に更生したかどうかは、今後のマッチメークにかかっている。