「自由に執念」の意味は無論説明するまでもないが「12周年」の当て字である。
1999年からはじまった「埼玉プロレス」も早いもので12年。
聖地とまで呼ばれた「聖蹟桜ヶ丘ファーストスピリット」を“とある事情”で追い出され、代表のサバイバル飛田が次に選んだ(ターゲットにした)舞台は埼玉県越谷市であった。
ちなみに「埼玉プロレス」の「埼玉」はサバイバル飛田の在住地という意味であり、埼玉県内での興行はわずか数回しかやっていない事実はもはや常識である。
これまでの聖蹟桜ヶ丘から数十キロも離れた越谷市での試合であったが、会場には前回と変わらない20名を超える観客が押し寄せ、試合前には既に満員となる盛況ぶりを見せていた。
なお、試合は18時開始の予定であったが控室での混乱により10分遅れ、さらには予約した客が現れないという大ハプニングが発生したために大幅に遅れてしまい、18時20分よりのスタートとなった。
オープニングトークにはもちろんサバイバル飛田。
「プロレス業界に自粛を求めているところもあるようだけど、みんなストレスを発散するために観にきてんのに電気が暗いとかじゃエンターテインメントじゃないよね。だから今日は『ノーモア震災』で。無理矢理楽しませるんで、期待しないで期待してください」
と、誰しもが感じていたモヤモヤを吹き飛ばしてくれるかのようなナイスな挨拶を吐き、飛田は控室に戻っていった。
【第1試合15分1本勝負】
山田マン£ VS かへる君
「見世物小屋」とプリントされたパンツの眩しい山田マン£。その対戦相手は青空球児よろしく「ゲロゲーロ!」と鳴くカエルの化け物、かへる君。
「コイツ気持ちわりーよー!」と山田マンいきなり戦意喪失。かへる君は巨体を使ったボディプレス攻撃で山田マンを苦しめる。まるで「ど根性ガエル」の世界があべこべになったかのような壮絶な戦いだ!
山田マン大ピンチ! しかし、そこは山田マン。かへる君の飛び出ている目玉に注目し、両手で目玉を握りつぶす! これにはさすがのかへる君もダウンした。
「終わります!」とフィニッシュ宣言を行った山田マン。通行止めの標札をかへる君の頭にクリーンヒットさせるものの無傷。逆上したかへる君は山田マンを追いかけるが、リングに倒れてしまい標札が腹に突き刺さる。
「いてー!!」と日本語で泣き叫ぶかへる君。キャラが半分崩壊したところで、山田マンが「だるまオ・ン・ナ」でフィニッシュを決めた。
○山田マン£(5分30秒 だるまオ・ン・ナ)●かへる君
【第2試合20分1本勝負】
佐野直 VS U.C.L.A.ファッションリーダー
「Y.M.C.A」のリズムに乗ってU.C.L.A.ファッションリーダーが登場。「ファッションリーダー」とはいっても着ているのはローソンの制服で、とてもセンスがあるとは言い難い。
ダンスの得意なファッションリーダーは空中殺法で佐野を苦しめ善戦するが、佐野が鉄アレイを取り出したところで形勢逆転。
「人が死ぬ瞬間を見せてやる!」と佐野ならではのギリギリ宣言を行いファッションリーダーの頭に鉄アレイを直撃させる。
フィニッシュは佐野のスイングDDTからのデルフィンクラッチで3カウント。空中殺法VS残虐ファイトは残虐ファイトが勝利した。
○佐野直(7分08秒 直伝デルフィンクラッチ)●U.C.L.A.ファッションリーダー
【セミファイナル 埼玉プロレス旗揚げ創立自由に執念記念興行記念バトルローヤル】
出場選手は山田マン£、佐野直、U.C.L.A.ファッションリーダー、かへる君。そして今回、特別参戦したマンモス半田の豪華5人でのバトルローヤルとなった。
しかし天然スタイルのマンモス半田があまりに強すぎたため、山田マン、佐野、ファッションリーダーが次々と踏みつけフォールで敗れていく。
かへる君は最後まで戦ったものの結局、半田の暴走を止める事が出来ず、アックスボンバーからの踏みつけフォールで敗れる。
自由に執念記念バトルローヤルは、マンモス半田ショーとして嵐のように過ぎ去った。
【メインイベント時間無制限一本勝負】
サバイバル飛田 VS 仰天生物・煩悩〜ン108
人間には108の煩悩が存在するという。仰天生物・煩悩〜ン108はその108つの煩悩が具現化した怪物…なのだろうか?
煩悩〜ン108は戦いの最中、「腹減った」「車欲しい」「セ○クスしたい」など己の欲望をつぶやきながら戦うスタイル。途中、「AKB欲しい」「ビニール欲しい」「インドに修行に行きたい」と、煩悩なのかどうかも怪しいセリフがあったが、実力はかなりのもので、サバイバル飛田もこれには大苦戦。
飛田は顔をストーブで焼かれ、背中からダンベルの上に落とされるなど、大ダメージを食らっていた。しかし、飛田はどこからともなく水鉄砲を取り出し応戦。
4月下旬とはいってもまだまだ寒い埼玉県。これには煩悩〜ンも「寒い〜」と戦意を喪失。
続いて「寒いならこれだ!」と言わんばかりのサバイバル飛田お得意のCG攻撃! 今回はCGにクロスチョップを加えた技と“いつものCG攻撃”で煩悩〜ンを苦しめる。
最後は飛田のX固めでフィニッシュ。サバイバル飛田は見事、人間の煩悩に勝利した。
○サバイバル飛田(14分54秒 X固め)●仰天生物・煩悩〜ン108
疲労困ぱいの飛田。メガホンで「飛田集会」を行おうとするが、変な音が出てしまう。これには客席も爆笑だった。なお、今回の「飛田会」は実に18分に及ぶ長時間のもので、尊敬する由利徹を例に出し「俺はクソ爺になりたい。人生は一度しかないんだ」などと語っていた。
飛田代表曰く、次の埼玉プロレスは7月下旬を考えているらしい。次も埼玉でやるのか、それとももっと都心から離れるか? それはファンの善意と国家にかかっている!?