「土偶の展覧会?」と侮るなかれ。今回の展示は、2009年9月から11月までイギリス大英博物館で開催され、好評を博したのを受けての“凱旋記念”だ。その時のタイトルは「土偶(THE POWER OF DOGU)」!
復習しておくと、土偶は縄文時代草創期から弥生時代の半ばまで、ほぼ1万年の間作られ続けた、人や動物を象った道具だ。目的は祭祀具と考えられているが、造形的特徴や分布地域から考えて、全てが同じ目的で作られたわけではないとも推測されている。
現在、国宝になっている土偶は「縄文のビーナス」(長野県茅野市棚畑遺跡)、「合掌土偶」(青森県八戸市風張1号遺跡)、中空土偶(北海道函館市著保内野遺跡)だが、この三点が同時に展示されるのはこれが初めてだとか。重要文化財、重要美術品も20点以上展示され、まさにタイトルにふさわしい充実の内容で、平日でも盛況だという。
土偶といえば真っ先に思い出す、細い目の遮光器土偶をはじめとして、動物型土偶、土器、銅鐸など約70点が展示されている。子どもの頃、自分でも粘土で作ったような、小さく簡単なデザインのものから、精巧な模様や造形のものまで揃っていて、たとえ知識がなくても楽しんで見て回ることができる。嬉しいのは、展示されたケースの壁際に、人が通れるぐらいの隙間があることで、後ろや斜めからと、展示品を全方向から見ることができる。また、出口のグッズ売り場では、期間限定の土偶ガシャポンなどの特別グッズも発売している。カルト的人気があったTVドラマの映画版で、2月上映の『古代少女ドグちゃん』のチラシまで置いてあるのもご愛嬌。
岡本太郎も影響を受けたという、素朴で力強い土偶たちを見ていると、なんだか力が沸いてくるような気がする。まさに「パワーオブドグウ」! 「土偶パワー」で活力をもらいに、見に行ってみてはいかがだろうか。
(横浜六太 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou