新デザインは、幸福を象徴する四つ葉のクローバーに、シニアの「S」を組み合わせている。四つ葉は各々色が異なる。上の葉は黄緑、右の葉は緑、下の葉は黄色、左の葉は橙色というカラフルなデザインである。
元々、高齢ドライバーが車に表示する標識には「もみじマーク」があった。しかし、枯れ葉に見えることから不評で、2009年11月に新たなデザインを公募した。検討委員会が公募作品を4案に絞り、もみじマークを含む5案について6月18日から意見を募集した。「クローバーは幸せの象徴」「カラフルで、どの車にも合う」と、クローバーのマークを推す声が多かったという。
ある高齢ドライバーは「もみじマークが何故、批判されたのか分かっていない」と憤る。問題はマークの色である。葉の黄色と橙色が「もみじマーク」と同じく、茶色にも見え、枯れ葉を想起させる。四つ葉のクローバーは通常、緑一色である。そこに茶色系の色を使うことは、紅葉をイメージした「もみじマーク」以上に不自然である。役所が「高齢者=枯れ葉」というイメージを固定観念として抱いている結果ではないか。
これは高齢者の被害妄想として片付けられない。驚くべきことに、候補作品4案のうちの3案に茶色系の色が強調されている。クローバーについては上述の通りである。稲穂の実を図案化したマークは、黄色と橙色がメインである。ハート型の鳥のマークは茶色一色である。検討委員会には、高齢者の色は茶色系という意識があるような印象を受ける。
後期高齢者医療制度導入時に「後期高齢者」という名称を使った役所の鈍感さが批判を浴びた。あくまで高齢者に「枯れる」というイメージを押し付けるならば、高齢運転者標識にも同種の批判が該当する。
(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者 林田力)