念のためにおさらいをしておくと、このリーグ戦は2ブロックにより行われ、勝者には勝ち点1が与えられる。敗者及び時間切れ等あらゆる引き分けには点数が加算されない。よって、あらゆる手を使っても勝利を収めなければならない。しかもリーグ公式戦は全て20分1本勝負と、かなり過酷なものとなっている。
各ブロックの出場選手は、Aブロック→竹田誠志(現STYLE-E無差別級王者)・藤田MI太郎(西調布妖怪組合)・趙雲“骨”子龍(獅子一色)・末吉利啓(プロレスリング・アライヴ)、Bブロック→田村和宏(STYLE-E)・柴田正人(STYLE-E)・冨宅飛駆(パンクラスMISSION)・ダイスケ(ガッツワールド)の総勢8名。10月大会ではAブロック、冨宅が柴田に、田村がダイスケに勝利してそれぞれ勝ち点1、Bブロックでは藤田が竹田に、趙雲が末吉に勝利してそれぞれ勝ち点1をマークしている。
第2試合で行われたAブロック公式戦、まずは末吉と藤田が対戦する。「今日はクリーンファイトで行く」と妖怪組合の砂かけCHANGOとアミゴの親父を下がらせた藤田。いまいち信用できないという表情をしている末吉。藤田の誠意は試合開始直後の握手で表された。しかしCHANGOが去る時、藤田はしっかりと砂袋を自分のコーナーに置いていた瞬間を見逃さなかった。左ひじへの集中攻撃から徐々に本性を現す藤田、レフェリーのてっしー手島に末吉を突進させて隙を作り砂攻撃! 一発目は命中せず、逆に末吉のファイナル・エルボーを食らってピンチに立たされるが、二発目は末吉の頭が白くなってしまう程見事に命中。すかさずサスケだましセグウェイに繋いだ藤田が負け無しの2点目をマーク。対する末吉は優勝戦線から脱落。IWA世界ジュニア王者としては悔しいリーグ戦となった。
第3試合ではAブロック、前回藤田に敗れて後が無い無差別級王者・竹田と「獅子一色を背負って立つ」趙雲。趙雲は入場してくる竹田の背後に襲い掛かり試合はスタート。竹田の出鼻をくじいた趙雲は丸め込み技を連発して精神的ダメージを負わせる。ロープワークの最中、竹田を場外に放り出してトップロープからのカンフーキック!
趙雲のクロスボディーをキャッチしてパワースラム気味に叩き付けた所から竹田の反撃が始まる。軽量の趙雲をポンポンと投げていく竹田のパワーから、精神的ダメージが回復している事が見られる。ところが趙雲の方が一枚上手だった。竹田のジャーマンを防ぐため手島レフェリーを掴んで急所攻撃…これは竹田がかわして逆にスピアで吹っ飛ばされる。それならと、前回末吉を破った回鍋肉を狙うが、竹田が持ち上げて叩き付ける。これは全て罠だったのか、自分の体重を上手く乗せて再び竹田を丸め込むと、レフェリーがカウント3を叩いた! 新技「棒々鶏」の初披露にセコンドの高梨岩兵衛も歓喜のマイク。Aブロックは藤田と趙雲による、妖怪組合と獅子一色の勝者が優勝戦に駒を進める形となる。逆に現無差別級王者でありながら優勝戦線に残れなかった竹田…予想も付かない結果となってしまう。
セミファイナル、Bブロック公式戦で冨宅とダイスケが初対決。試合前の握手を拒否し、先制のドロップキックで冨宅を吹っ飛ばすダイスケ。串刺し式のバックハンド・エルボーをキャッチした冨宅は何と、コーナー最上段に登ってダイスケの左腕を極めるワキ固めを披露! その後も冨宅はダイスケの左腕を執拗に攻める。
ダイスケは得意のエルボーで反撃。変則ロープワークで冨宅を困惑させた所にジャンピング・エルボーパッド。フィッシャーマンズ・バスターからフロッグ・スプラッシュで冨宅を追い込んでいく。ローリング・エルボーからのフォールはカウント2で返されるが、ここで肘サポーターを外して必殺のスライディングD…しかし冷静にこれをキャッチした冨宅は一気にチキンウイング・フェースロックの体勢に。キャメルクラッチ状にダイスケの上体を反らして締め上げると、たまらずダイスケはギブアップ! 寡黙なベテランが若いダイスケを沈めて負け無しの2点をマークする。
メインイベントになったBブロック公式戦、田村和宏と柴田正人によるSTYLE-E同門対決。過去両者は2度シングルで対戦し、田村が2試合共に勝利を収めている。最近では無差別級王者・竹田に先輩の意地を見せ付ける勝利を飾る等、突如として訪れる「柴田スーパーラッシュ」は脅威の的となっている。体格ではさすがに柴田が有利。不要意にヘッドロックを仕掛けた田村を軽々とバックドロップで投げ捨てる。田村は機動力で勝負。柴田のパワーを封じるために左足への集中攻撃を極めていく。
串刺し攻撃を狙った田村を場外に放り投げた柴田。再度コーナーに上る田村を叩き落し、場外で田村を担ぎ上げると驚愕の「リング内への投げ捨てアッサム・ボム」を炸裂させた! これで柴田のペースになるかと思われたが、田村も伊達にSTYLE-Eを牽引してきた訳ではない。柴田のベイダーハンマー、ベリィ・トゥ・バックを食らいながらロープの反動を利用してのアックスボンバー! 両者ダウン。
柴田がコーナーに登ってのエンジェル・プレスを狙うが、左足へのキックで逃れた田村。体重差60キロはある柴田をそのまま担ぎ上げ、膝から落とす変形のニークラッシャーからバズソーキック! カウント2で返した柴田に対し、更に左足を絞り上げる田村。得意のコーナーに駆け上がってのウルトラタイガードロップを狙うが、バックを取った柴田がベリィ・トゥ・バックで投げ捨てる!! ここから始まった「柴田スーパーラッシュ」。柴ちゃんこボンバーを正調・スライディング式と連続で決めると投げっ放しフルネルソン・スープレックス! 意地でカウント3を入れさせなかった田村に対しとどめのビッグクランチ(投げっ放しパワーボム)!! 体固めの体勢に入ると田村は肩を上げる事ができなかった。
田村戦初勝利、そしてBブロックの優勝戦線に踏みとどまった柴田は試合後「優勝したら『俺が優勝する』と予想してくれた人全員と焼肉食べに行くぞー!!」とぶち上げる。一方田村はビッグクランチのダメージが大きく、玲央に担がれて控室に去っていった…。
各ブロックをトップで通過したのが他団体、そして敵対するユニットの選手となりピンチに立たされてしまったSTYLE-E勢。特にAブロック、竹田の予選敗退は誰もが予想出来なかったことであろう。「毎週第三土曜日は晴天」という都市伝説(?)にも陰りが出た当日の天候は、今にも降り出してきそうな天気。「逆境に強い」STYLE-Eではあるが、12月18日の決勝戦に駒を進めるのは果たして田村か、柴田か。
ただでさえ興行がひしめく師走、5日と18日という一か月2大会を開催する事となったSTYLE-Eだが、優勝戦線に所属選手が出場してない事により客足が遠のいてしまう結果になってしまう可能性も出てくる。崖っぷちに立たされたと言ってもいいSTYLE-E、7年目の年末に嵐の予感がする…。
(Office S.A.D. 征木大智(まさき・だいち))
◆STYLE-E11月大会『E-1クライマックス第二戦〜生き残れ! E-1戦士!』
2010年11月20日(土) 東京・調布『西調布格闘技アリーナ』(観客119人)
<メインイベント E-1クライマックスBブロック公式戦 20分1本勝負>
○柴田正人〔1勝1敗=1点〕(17分01秒 体固め)●田村和宏〔1勝1敗=1点〕 ※ビッグクランチ
<セミファイナル E-1クライマックスBブロック公式戦 20分1本勝負>
○冨宅飛駈〔2勝=2点〕【パンクラスMISSION】(4分37秒 キャメルクラッチ式チキンウイング・フェースロック)●ダイスケ〔2敗=0点〕【ガッツワールド】
<第4試合 新妖怪登場!? 新妖怪査定試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
砂かけCHANGO&○アミゴの親父【西調布妖怪組合】(6分23秒 呪縛)ヒデ久保田&●ヤス久保田【スポルティーバ・エンターテイメント】
<第3試合 E-1クライマックスAブロック公式戦 20分1本勝負>
○趙雲“骨”子龍〔2勝=2点〕【獅子一色】(6分20秒 棒々鶏)●竹田誠志〔2敗=0点〕
<第2試合 E-1クライマックスAブロック公式戦 20分1本勝負>
○藤田MI太郎〔2勝=2点〕【西調布妖怪組合】(12分27秒 体固め)●末吉利啓〔2敗=0点〕【プロレスリング・アライヴ】 ※サスケだましセグウェイ
<第1試合 STYLE-Eフレッシュ・ファイト 6人タッグマッチ 30分1本勝負>
○吉野達彦【ガッツワールド】&塚本拓海【大日本プロレス】&那須晃太郎(9分05秒 アスリートジャーマン)山田太郎【666】&橋本和樹【大日本プロレス】&●玲央