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日本相撲協会困った! 八百長でクビにした元蒼国来に解雇無効判決

 日本相撲協会が困った事態に直面した。

 11年2月に起きた一連の八百長問題で、関与を認定され、同年4月に解雇された中国出身の元幕内・蒼国来の恩和図布新(おんわとうふしん)氏(29)が力士としての地位確認を求めて訴訟していた件で、3月25日、東京地裁(古久保正人裁判長)は問題とされた取組で八百長があったとは認めず、解雇は無効として力士の地位にあると確認し、解雇後の給与の支払いを命じた。

 協会の特別調査委員会は、対戦相手の元幕内・春日錦(元竹縄親方)と仲介役とされた元幕下・恵那司の供述に基づき、元蒼国来が10年夏場所の春日錦戦で八百長をしたと認定して、11年4月11日に引退を勧告。これを拒否した元蒼国来は同14日に解雇処分となった。

 元蒼国来は同22日、力士としての地位保全などを求める仮処分を東京地裁に申し立て、同年6月9日、仮処分申請で協会が元蒼国来に幕内力士の月給に当たる約130万円を1年間仮払いする内容で和解。同17日、幕内力士としての地位確認などを求めて本訴を起こした。口頭弁論は同年7月に始まり、12年12月20日に結審した。

 ポイントとなったのは元竹縄親方と元恵那司の証言だった。古久保裁判長は元竹縄親方の供述には多くの疑問点があり、元恵那司は元蒼国来と元春日錦を仲介した記憶がないと供述していると指摘。「過去に八百長に関与したことがうかがえるが、(八百長認定された取組の)春日錦戦が八百長だったと認めるには十分でない」と判断した。つまり、証拠不十分ということだ。

 また、今回の処分の妥当性について、「八百長問題で個々の力士よりも大きな責任があると、特別調査委員会から指摘されている協会が、引退勧告に応じないことが秩序を乱すとして最も重い解雇処分を選択するのは相当性に疑問がある」とした。

 敗訴を受けて、北の湖理事長は「控訴するかどうかは弁護士の意見を踏まえて判断する。判決を真摯に受け止め、危機管理委員会を中心に原因を検証したい」と慎重にコメントした。

 ただ、判決を覆すだけの証拠が乏しいため、協会は控訴を断念するものとみられている。元蒼国来はカムバックに意欲満々で、協会は控訴しない場合、4月上旬に臨時理事会を開き、この問題を協議する。復帰が決まれば、早ければ、夏場所(5月12日初日=両国国技館)で土俵に上がることになる。元蒼国来は11年初場所で、東前頭16枚目で8勝7敗と勝ち越しており、復帰となれば、その地位以上の番付が用意されると思われる。

 これまで、同様の経緯で協会から解雇されたモンゴル出身の元十両・星風のボルド・アマラメンデ氏(29)も、力士としての地位確認と慰謝料を求める訴訟を起こしているが、一、二審で解雇を有効とする判決が出ており、上告中。

 元蒼国来の件に関し、協会が控訴しなければ、復帰を認めざるを得ない。協会が八百長を認定した力士が戻るとなると、前代未聞。協会にとって厄介なのは、古久保裁判長が当該取組ではない過去の相撲において、「八百長に関与したことがうかがえる」としている点である。協会はそんなグレーな力士を受け入れなければならず、正直頭が痛い。

 さらに、八百長裁判で元力士側が勝訴したことで、八百長を認定されて処分された他の元力士や元親方が、新たな訴訟を起こす可能性も出てくる。そうなると、協会も困ったことになってしまうだろう。
(落合一郎)

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