「これまでテレビ局は、放送免許という伝家の宝刀を持ち、他業種が参入できないという特殊な環境の中で利益を享受してきた。しかし、民主党政権下ではかなり厳しくなる。ボーナスが減額したなんて言っている場合ではなくなる。これからは公共放送NHKのひとり勝ちの時代です」(民放キー局編成マン)
まず、民主党政権では、間違いなく公共事業系のCMがなくなるという。実は、CM収入が激減し青息吐息のキー局にとって公共事業CMは大事な収入源。
「政府から民放に対し一局当たり支払われている金額は年間ン億円。もちろん地方局もこの恩恵にあずかっており、なくなれば大打撃を受ける」(制作関係者)
2009年3月期の決算ではテレビ朝日とテレ東が赤字に転落した。他局も大差はないという。このような時に公共事業系CMの打ち切りは深刻な事態なのだ。
キー局関係者にとって悩みの種がもうひとつある。「電波のオークション化」だと解説するのは総務省関係者。
「政府と事業者=民放キー局のなれ合いをなくすと民主党は公約している。そのために日本版FCC(米連邦通信委員会)を創設し第三者に電波を管理させ電波免許を入札制にする方針を示している。結果、電波料は上昇するが、政府にとっては新たな財源を確保できる。アメリカではすでに成功したビジネスモデルだ」
原口総務相は、キー局に対し徹底した厳しい対応で知られている。
「自民党関係者を相手にするのとはわけが違う。原口総務相は政治生命を懸けて公約を実現すると宣言した。キー局幹部は、震え上がっている」(テレビ関係者)
加えてテレビ界に起こっているのが人材流出という危機的状況だ。なんと入社して5年目までの局員が次から次へと転職してしまうのだ。
「彼らは10年後にはテレビは存在していないと考えています。給料の激減も影響している。実はテレビ局の基本給はメーカー並み。残業代に支えられてきた。好きでないとテレビは作れない。しかも、テレビ屋はつぶしが聞かない代表的な業種。仕事を覚えたばかりの人間の流出に局も頭を抱えている」(同)
テレビ界に未来はあるのか…。