国勢調査は5年に1度、国内に住むすべての人・世帯を対象に実施している「全数調査」。東京都内ではモデル地域として、今回はじめてインターネットによる回答の受付も行われている。また今回から、把握しづらいとされるネットカフェに寝泊りする人たちも対象になっている。
■事実婚は「結婚」扱いでOK
世帯単位で調査がおこなわれる国勢調査だが、統計局によれば、これは実態を把握するための調査。そのため、婚姻については届けているかどうかにかかわらず「自己申告」による記述でよいとのこと。記入欄にもしっかりと「届出の有無に関係なく記入してください」との文字がある。
「申告をそのまま真と受け止める」のが国勢調査の基本姿勢だとのこと。事実婚の場合、夫婦が別姓のこともありますが、氏名の欄は集計そのものには使われないのだそう。
■実態をそのまま書いても「誤記扱い」
しかし、実態をそのまま書いたとしても「誤記」として処理されてしまうケースがあるということが問題になっている。
それは「同性カップル」。
性同一性障害であることを公表している区議会議員・上川あやさんが、同居する同性カップルの扱いについて、区の担当課を通して国に問い合わせをおこなったことをツイッターで報告している。
「し⇒区⇒都⇒国へと問い合わせた結果、同居する同性間で相手を『配偶者』として届け出ることは可能だそうだ。ただ国の集計では同性婚は想定外なので『誤記』として『その他』にソートされるだろうとのこと」
また、参議院議員の松浦大悟さんも、総務省統計調査部国勢統計課長に問い合わせたところ、返ってきた回答に戸惑いを隠せないという。
「統計課長に『同性結婚の認められている国で結婚した日本人同性カップルで、現在は日本に住んでいる人の「世帯主との続き柄」は「世帯主の配偶者」となるのか?』と尋ねたところ、『その場合は「世帯主とその他」で集計し、別世帯となります』とのこと」
「『それでは、母国で正式に同性結婚し、現在は日本に住んでいる外国人の場合は?』と尋ねたところ、『それも別世帯として扱います』という。理由を聞くと、『国勢調査は将来の人口がどうなるかを見るもので、男女の間が大前提。この精神は譲れない』のだとか」
同性カップルをめぐる環境は年々変化している。
ネットユーザーからは、「(今は少数かもしれないけれど、)今後増えるかもしれない数字を拾えなくて何が統計調査か。」といった声があがっている。
また、松浦大悟さんは続けて、ツイッターで意見を表明している。以下はその一部である(http://togetter.com/li/54744)。
「国勢調査は、加藤課長が言うように、子供が産めるカップルだけに注目している調査ではない。HPには『調査の結果は、児童福祉、高齢者の介護・医療、若者の雇用対策など、私たちの暮らしのさまざまな分野で役立てられる大切なデータとなります』とある」
「いまや10組に1組は不妊カップル。高齢結婚で、子供を持ちたくても持てない人もいる。『この国のかたち』がどうなっているかを正確に知り、将来の施策に生かすのが国勢調査の目的ではないだろうか」
「現に日本に存在する同性カップルに目をつぶりカウントしなければ、この国において同性カップルはいつまでたっても透明な存在として扱われることとなる」
■国勢調査はかたちを変えている
国勢調査のかたちは年々変わっている。アメリカでは今回はじめて同性カップルを配偶者として記入できるようになったという。日本でも今回はじめてインターネット回答が実験的に試みられ、ネットカフェ難民も対象になるなど、国勢調査はかたちを変えて、より時代のかたちにあったかたちで行われるようになってきている。次回の調査は5年後だが、どうなるだろうか。
■様々なPRが行われる 「けいおん!」やオリジナルPRソングも
今回の国勢調査では、様々なPR活動も同時に展開されている。
京都府では人気アニメ「けいおん!!」のキャラクターが府のインターネット放送局で国勢調査をPRしている。また、北海道では釧路市の担当職員が一人で作詞作曲を担当したPRソングが作るなど、多種多様なかたちで「プライバシーは守られている」「安心して答えて欲しい」「大切な調査」と国勢調査のPRがおこなわれている。
繰り返すが、回答は10月7日(木)まで。まだ答えていない方はお早めに。(久家雅博)
*画像は京都府国勢調査お知らせより(http://www.pref.kyoto.jp/broadcast/radio-cm.html)
【参照】非モテタイムズ
http://himo2.jp/