前回、衆議院選挙前の民主党の政権公約である「マニフェスト」は、国民に対して、民主党に政権を執らせると国民生活が大きく変わることを宣伝していた。今までの自民党にはこのような政策はできないとばかりに、彼らは声を大にして叫んだ。
その結果、民主党は308議席を獲り衆議院選挙に圧勝した。9月16日に鳩山由紀夫を内閣総理大臣として発足した鳩山新内閣は、国民から大きな期待と支持を受けたのであるが、その後の民主党政権の迷走は、国民に大きな失望を与える結果となってしまった。
その最大の原因が、民主党の公約である「マニフェスト」の大部分が実行されなかったことである。選挙前の主な公約は以下の通りである。
・首相直属の「国家戦略局」を設置し、政治主導で予算の骨格を策定
・予算のムダ削減や埋蔵金の活用、租税特別措置の見直しで政策財源を4年目に16.8兆円捻出
・特別会計をゼロベースで見直し、必要不可欠なもの以外は廃止
・高速道路の原則無料化
・ガソリン税などの暫定税率の廃止
・最低賃金は全国平均で時給1000円を目指す
・中学卒業まで1人あたり月額2万6000円の子ども手当を支給(2010年度は半額でスタートし、11年度から満額を実施する)
・公立高校の実質無償化、私立高校生には年額12万円(低所得世帯は24万円)を助成
・日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む
今思うことは、国民生活に直結した民主党公約「マニフェスト」が守られずに、一部の家庭だけを優遇した「子ども手当て」のようなばら撒き政策だけで、はたして日本の景気が良くなったのであろうか。結果は否である。
そもそも、民主党政権には景気対策が存在していない。菅総理が言う「雇用の創出」の前に、国内景気を回復する必要が前提にあるのだが、総理はどう思っているのであろう。
願うべきは一日も早く衆議院を解散して、民意を国民に求めるのが一番ではないだろうか。
(白井正雪)