斎藤が契約更改に臨んだのは、去る11月29日。300万円ダウンの2000万円が提示され、それを受け入れた。会見では力なく、「下がったことは当然だろうと思います」と述べるにとどまった。今季は0勝1敗。チームはリーグ優勝、日本一に輝いただけに、疎外感があったのかもしれない。
「斎藤本人は先発投手でやっていきたいと思っているはずですが、今の成績ではチームの投手戦力的に中継ぎをやるしかない。それでも先発にこだわるなら、他球団に行くしかない。環境を変えるのは再起を図る手段だが、トレードに手を上げる側が『先発』を補償するかどうかは分からない」(ベテラン記者)
しかし、今回のダウン提示はトレードの可能性を広げた。斎藤が先発投手として開花するかは未知数だが、2000万円ならネームバリューもあって他球団も獲得を検討するはずだからだ。
全選手の平均年俸は約2800万円。今年4月に選手会が発表したチーム別平均年俸でも、最も低いDeNAが2440万円だったから、今の斎藤は“お買得商品”ということになる。
「日ハムはダウン更改してからトレード放出する傾向があります。'02年オフ、下柳剛(現解説者)を放出したときも、大幅減俸を提示した上でのトレードでした。受け入れたくないとする下柳に、球団は受け入れなければ阪神との交換トレードをまとめられないと告げています。4年連続のダウン更改で、『斎藤を出す』というシグナルを感じ取った他球団編成担当も多いのでは」(球界関係者)
平均年俸以下ならば、ダメもとで「冒険しても」と思う球団も現れるだろう。
「糸井(嘉男)獲得に成功した阪神ですが、本当に補強しなければならないのは先発投手です。ドラフトで金本知憲監督のお願いがなければ1位指名は即戦力投手だったはずで、現時点では2位指名の小野泰己(富士大)以外の投手を補強していません。FAで主力投手を失ったDeNA、埼玉西武の出方も気になります」(スポーツ紙記者)
しかし、本命は巨人だ。日ハムは巨人と「吉川光夫・石川慎吾と大田泰示、公文克彦」の複数トレードをすでにまとめたが、巨人側が交換リストに斎藤の名前があることを期待していたとの情報も飛び交っている。FAでDeNAから山口俊を獲得したが、ローテーション6人を予想すると、今季10勝した田口麗斗はまだ先発で1年しかやっていない。杉内俊哉、内海哲也の復活は未知数で、交流戦での変則日程には対応できなくなることも。まして、巨人にとって、近年の最大のトレード窓口は日ハムだ。
「パは速球派、セは技巧派が成功している。斎藤はパリーグ向きではない」(同)
来季の編成も決まりかけた、閉店間際の“お買得セール”品に、巨人が食いつくのは必至か?