無血の平成維新を掲げた鳩山首相にうり二つの人物が登場するのは、「COMIC快楽天11月号」(ワニマガジン社刊、380円)に収録されている、その名も「性権兄弟」。希代の新鋭社会派エロ漫画家、蜂矢マコト氏による読みきり漫画だ。
ストーリーは、斜め45度の美人アナ“北川クリステス”が、政権交代を成し遂げた“淫主党”の代表“烏山(からすやま)ゆきお”に単独インタビューするところから始まる。
のっけから登場する首相にそっくりすぎる人物に笑いがこらえられない。本人の特徴をよくとらえていて、夫人の趣味によるネクタイなど細部まで小技が効いている。
そこへお茶を持って入ってきた執事が、なぜか“自淫党”の“タローさん”。口角をつり上げたタローさんは高貴な家柄だけあって蝶ネクタイが良く似合う。もうねじれたわき腹が痛い。似すぎです蜂矢先生!
するとなぜか顔にキズのあるヤクザ風に描かれた弟の“烏山くにお”がバスローブ姿で登場。犬猿の仲であるはずの兄弟がなぜひとつ屋根の下に? 兄弟関係の真実を知られてしまった烏山兄弟は、“クリステス”を口封じすべく彼女の柔肌に手を伸ばす。
弟が慣れた手つきで太ももをなでつつスカートをまくりあげ彼女のパンティーを露わにさせれば、兄はブラジャーを引っ張ってカワイイ乳首をポロリとさせる。本来は児童ポルノ規制に非常に積極的な立場であるはずの弟なのだが、ここから大暴走。なんと下着姿の人気アナを後ろから抱きかかえ、屈辱的なおしっこポーズに。強引に足を押し広げられて抵抗を試みるも、パンティーの下に愛液をのぞかす“クリステス”の姿がまたエロい。「お兄ちゃん、見てよコレ」という弟に、兄は露わになった彼女の恥ずかしい部分に大接近。「あらあら、牝のニヲイが立ち込めてますね」…。
平和の象徴の鳩に対して、西洋では魔女の使いとされる烏とはいえ、ブラック過ぎるぞ烏山兄弟! こんなトンデモな内容のマンガを描いた蜂矢氏とはどういった人物なのだろうか。担当編集者の金子道夫さんは「洋画作品をこよなく愛する、温厚な御仁です。ニュースなどもよく見ているみたいですが」と話す。
老舗アダルトコミックの同誌の中でもこのマンガだけ異色のストーリーだが、「特に政治に対してどうこうあるわけではないんです。コンビニ売りなのでこそっと笑ってくれればそれで十分です。なにぶん弱い立場ですので」と本音がポロリ。
蜂矢氏は同誌4月号にもタローくんの隣にオバマ大統領によく似た“小浜さん”が引っ越してくるというストーリーの「となりのタローくん」を発表している。マンガ好きで有名な麻生元首相のことだから読んでいた可能性もあるが、総選挙に揺れていた時期だけにその暇はなかったか。
では新政権の鳩山首相はというと、こちらも東大時代から「週刊少年マガジン」などを愛読。桂正和氏原作のちょっぴりエッチな恋愛漫画「I”s(アイズ)」が大好きだったというから、きっと許してくれるはず!?
ストーリーの後半には“クリステス”と兄弟による“友愛”乱交シーンも登場。さて、気になる読者からの反響はと言うと「男性向けの雑誌なので読者の“目的”がハッキリしてますから、あんまりウケはよくないです」と苦笑い。ロリから熟女までお約束のエロが詰まった同誌の中で、社会派エロマンガはまだ日の目を浴びるまでにはいたってないようだ。
蜂矢氏の次回作は、11月29日発売の1月号に掲載される予定だが、こちらは時事ネタではない。王道の濃密エロス描写がタップリつまった甘〜い作品とのこと。社会派風刺エロマンガという新たなジャンルに挑む蜂矢氏の続編が待ち遠しい。“烏山政権”の今後に期待大だ。