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金子と王ゲット、日本ハムの変革 初めて育成選手を獲得した理由は

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 北海道日本ハムのオフが例年と違う…。

 日本ハムが前台湾・ラミゴの王柏融(ワン・ボーロン=25)外野手との契約合意を発表したのは、12月7日だった。「総額4億円プラス出来高、3年契約」、巨人入りした丸佳浩の争奪戦を見てきたせいか、インパクトはない。しかし、王は台湾球界で2度の打率4割超えを果たした「台湾史上最強打者」だ。また、2017年の侍ジャパン・壮行試合では台湾代表として来日し、楽天・則本からバックスクリーンへの特大アーチも放っている。
 日本球界向きで、台湾からのツアー観戦などの収入増も見込める助っ人。だが、そんな王の獲得交渉に対し、正式に手を挙げたのは日本ハムだけだった。

 「阪神、ソフトバンク、巨人、西武などが熱心に調査していたんですが。王には『大物代理人』がついているらしく、年俸交渉の吊り上げを恐れたようです。しかも、台湾球界は王の日本行きに対し、異例の入札制度まで実施。所属球団のラミゴに対しても移籍金が生じるため、日ハム以外の球団は引き揚げてしまいました」(スポーツ紙記者)
“適正金額”でまとめてみせたのは、日ハムの交渉能力の高さによるものだろう。

 とはいえ、今オフの日ハムはいつもと違う。過去、FAで主力選手を見送っても争奪戦にも参戦していなかった。ドラフトと育成のチームを自負しており、これまで育成選手を獲得しなかった。今秋のドラフト会議で育成選手を指名したが、球団史上、初めてのことである。また、35歳のベテラン、金子千尋(登録名を新たに「金子弌大」)投手も獲得した。

 「ドラフトと育成、この看板を下ろしたわけではありません」
 チーム関係者はそう話していた。しかし、近年、「失敗」が重なったため、軌道修正が必要になったのだという。
 「投手陣ですが、計算が立つ先発投手は有原と上沢しかいません。今季10勝を挙げたマルティネスとの残留交渉も難航しており(12月10日時点)、そうなると、経験豊富な金子を獲って何とかしてもらおうと…。ドラフトの失敗、育成の遅延によるものです」(前出・同)

 本来ならば、斎藤佑樹が先発陣の大黒柱となっていて、15年1位指名の上原健太、16年1位の堀瑞輝も一本立ちしているとの“予定”を立てていた。しかし、この2人が一人前になるにはもう少し時間が掛かりそうだ。

 こうした「育成の遅延」について原因の究明が行われ、球団はドラフト調査の甘さとの結論を出した。スカウト陣の「2、3年で一軍戦力」なる評価は甘く、「4、5年は掛かるのを見抜けなかった点」が指摘された。2位以下で指名された野手陣に対しても、同様の指摘がされ、育成にもうしばらく時間が掛かるため、外部補強をしなければならなくなったそうだ。

 これまで育成選手を持たなかった理由は、「二軍選手の出場機会が減るから」と答えてきた。初の育成選手を指名した今年のドラフト会議後、球団幹部はそう答えていた。育成枠が設けられた05年、二軍戦は100試合程度だった(雨天振り替えがないため)。現在は社会人、大学、独立リーグ等との交流戦もあり、最大144試合をこなす予定となっている。日ハム幹部の試合数増加はごもっともな説明だが、矛盾もあった。試合数が増えたのなら、最優先すべきは投手の増員だ。しかし、実際に指名された育成選手は外野手だった。先の関係者は「現有戦力の二軍投手の登板機会を奪いたくない」というが…。

 「日ハムの18年シーズンの総年俸額は15億2388万円(選手会発表/外国人選手を除く)。12球団ワーストですが、それが日ハムの自慢でもありました。コストパフォーマンス、費用対効果の高いチームなんだ、と」(プロ野球解説者)
 日ハムは「育成の球団」なる看板を下ろしていないが、現実的な選択を迫られたようだ。

 傍目には大谷翔平をポスティングシステムにかけるのを少し遅らせれば、問題はなかったと思うのだが…。(スポーツライター・飯山満)

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