−−テレビ放映の相次ぐ打ち切りなどプロレス界、格闘技界を取り巻く環境は日々厳しさを増している。
「まあ、寂しい限りだよね。ただテレビ放映に関しては、地上波からケーブルテレビ等の『ペーパービュー』による視聴に、ちょうど移行する時期なのかな、とは思っている。とはいえ、これだけ地上波からプロレスや格闘技の番組が消えていくってのはやっぱり悲しいよな」
−−一番の原因は?
「どの団体も自分たちで“安売り”しちゃってるじゃない。お安いベルトにお安いサクセスストーリー、おまけにレスラーまでお安いキャラときてる」
−−団体のあり方が問題か。
「それもある。プロレスファンは常に意表を突く対決、試合展開を望んでいるんだ。だけど最近、試合そのものでサプライズを起こせたようなものがひとつでもあったか? レスラーが試合そのもので魅せられないようじゃあダメなんだよ。もちろんオレのIGFにも責任はあるよ。リングが闘いの場であることを再認識しなくちゃいけない」
−−レスラーの力量不足はそんなにひどい状態か。
「まあ、それは誰もが感じるところだろうな。どの選手も次を考えながら恐る恐る一歩を踏み出してるって感じじゃない。もちろん考えて動くことは大切なんだけど、それを観客にさとられちゃダメだ。もちろん業界の衰退要因はさまざまなことが絡み合ってるだろうけど、ひとことで言うと、スター性のある選手がいなくなったってことなんだよ」
−−どんな選手に出てきてほしい?
「…う〜ん。インパクトのある選手、バカができる選手、バカをやって観客を盛り上げられる選手、そして一番大事なのはバカをやっても憎めない選手ってことだよな」
−−今の格闘技界に該当しそうな選手はいるか?
「石井慧はいいんじゃないか。ただ、彼は総合格闘技志向だろう? オレは、つぶれちまわないと良いけどってすごく心配してる。変な癖を付けられる前にプロレスに来ちまった方がいい。彼は間違いなくプロレス向きだよ。将来的に業界をけん引していってくれる人材だと思ってる」
−−猪木さん自身のIGFも結構苦戦していると思うし、何か策を施そうとしているはずだが。
「今は団体というより、イベントをプロデュースしている方が面白いんだよな。来年あたり、東京ドームクラスの箱で、リングを5、6台置いてさ、団体の垣根を超えたビッグイベントを打とうと思っている。石井にはぜひ出てほしいし、またこの大会を踏み台にして将来のスター選手が出てきてほしいって思ってるよ。オレが業界のためにできることってこれくらいだから」
−−内外タイムスも9月1日に大変身します。
「いまの新聞界もインターネットの影響を受けて大変な時期と思う。内外には思い切ってバカになって面白い新聞を作ってほしいね」