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北朝鮮 女帝・金与正が掌握した絶大権力「3階書記室」

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提供:週刊実話

 国際社会の経済制裁と新型コロナウイルス、さらには台風被害の影響で北朝鮮は厳しい経済状態が続いている。金正恩朝鮮労働党委員長は8月中旬、「経済発展5カ年戦略」の達成が難しいことを認め、「国民にこれ以上ベルトを締めさせない」と、公約を達成できなかったことを懺悔した。

「9月9日の朝鮮中央通信によると、前日に開かれた党中央軍事委員会拡大会議で、正恩氏は今夏の甚大な台風被害に触れ、復旧作業のため朝鮮人民軍の投入を決めたという。中でも台風9号が直撃した北東部の咸鏡南道には、『国家財産』とまで呼ばれる鉛や亜鉛の鉱山地区があり、朝鮮労働党の創建75年にあたる10月10日までに復旧するよう指示しています」(大手紙ソウル元特派員)

 吉事は針小棒大に、凶事は控え目にという「大本営発表」が定着している北朝鮮の官製メディアが、災害の被害状況を生々しく伝えるのは珍しい。しかし、9月後半の収穫期を前に大型台風の直撃を受け、国民生活の根幹を成す「食」が危機にさらされたことで、北朝鮮が弱気になるのも無理はないだろう。

「正恩氏の父親である金正日総書記時代には、1990年代に3年連続で飢饉が発生し、結果的に数百万人の餓死者を出している。この『苦難の行軍』の再来が懸念されています」(北朝鮮ウオッチャー)

 台風被害の詳細がまだ報じられていない8月10日の段階で、米農務省傘下の経済研究所は、今年の北朝鮮は人口の6割にあたる1530万人が、1日あたりの正常な生産活動に必要な2130キロ㌍(世界保健機関による算出)を摂取できないと報告している。

「とはいえ冬から春にかけては、食糧事情に恵まれた首都の平壌でも、雑穀米と汁とキムチだけで食事を済ませています。複数の脱北者と何度も会食した経験がありますが、彼らは例外なく食が細い。ですから1500キロ㌍程度の摂取でも大丈夫でしょう」(同)

 加えて、配給制で口を開けて待つしかなかった「正日時代」と違い、現在、国内には400カ所以上の公営市場が設けられている。また、人民の副業も相当部分が黙認されており、飢饉はあっても餓死は限定的なものになるとの見方もある。

 慢性的な食糧不足が続く中、北朝鮮では組織編成と幹部事業(人事)が推進され、またぞろ「金王朝」による独裁体制が強化された。

 党中央委員会に司法、検察、保衛(秘密警察)、安全(警察)などの各組織を動かす「組織行政部」が新設され、金才龍前内閣総理が部長に任命されたのだ。

「同じような全権機能を持っていた『行政部』は、7年前、正恩氏の叔父である張成沢党行政部長(当時)の処刑に伴って解体されたのですが、名称を一部変更して復活したようです。当時の張成沢氏は、政敵の排除や利権の掌握などに絶大な権力を振るいましたが、それが仇となり正恩氏によって抹殺されました」(北朝鮮に詳しい元大学教授)

 現在、北朝鮮の指導体制は正恩氏からの権限委譲が明確になっており、金才龍氏を含めた5人で分割統治されている。

「昨年末に新設された軍政指導部長には崔富一氏が就き、朝鮮人民軍に対する統制が強化されました。崔富一氏は軍の最高実力者である総参謀長や人民武力相より上位者です。李炳哲党政治局常務委員は核・ミサイルの統括責任者で、党の地位では崔富一氏より上の人物。ミサイルの試射成功時に、正恩氏と李炳哲氏が抱き合っていたことから、ここに来て妻の李雪主氏の父、あるいは叔父という説が有力になっています。朴奉珠氏は党国務委副委員長で、経済の専門家。金徳訓氏は首相として、国内の経済政策全般を担当しています」(国際ジャーナリスト)

 しかし、組織行政部の権限は限定されており、彼らは部内で提起されたすべての問題を「書記室」に報告しなければならない。現在、この書記室に君臨するのが正恩氏の妹、金与正党第1副部長で、彼女は上がってきた項目を取捨選択した後、正恩氏に直接「1号報告」として知らせている。

「組織行政部の5人は張成沢氏と違い、独裁者のすぐ下にいる与正氏の手足にすぎません。書記室は党幹部も勝手に近づけない完全な立入禁止区域で、3階建ての建物であることから『3階書記室』とも呼ばれています」(同)

 正恩氏は、’11年に金総書記が死亡すると朝鮮人民軍最高司令官に就任した。翌年4月には「第1書記」と「国防委員会第1委員長」に就いている。その後、’16年5月の第7回党大会から、現在の「党委員長」を名乗るようになった。

「正恩氏は、先軍政治(軍中心の政治体制)を打ち出していた金総書記より、祖父である金日成主席に倣う政治体制を敷きました。意思決定過程において党を中心とする姿勢をはっきりと示すため、自ら第1書記という職責を捨てたわけです。同時に世襲統治を維持するための秘密組織として、書記室を密かに設置したのでしょう」(同)

 ウォーターゲート事件で知られるボブ・ウッドワード氏の新刊『怒り(RAGE)』の中には、トランプ大統領が正恩氏から聞いた話として「高位幹部が使う建物の階段には張成沢氏の遺体、その胸には氏の切られた頭部が置かれている」と記されている。

 遺体があるのは書記室なので、設置したのは兄の神格化を図る与正氏かもしれない。

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