フジテレビとグループ会社の産経新聞社は、この1カ月あまり不祥事が続いている。恋愛リアリティー番組『テラスハウス』に出演していた女子プロレスラーの木村花さんが、ネット上の誹謗中傷で自殺。産経新聞記者2人は朝日新聞社員とともに、東京高検の黒川弘務前検事長と賭け麻雀に興じていた。そして、フジテレビ系列局と産経新聞の合同世論調査で、業務の再委託を受けていた会社が調査対象者に電話せず、架空の回答をデッチ上げていたことも判明している。
いずれもメディアの信頼性を失墜させるような大事件。しかし、注目されたのは、フジMHD経営側の発言だ。会場に集まった株主からの質問は1人1問、質問時間は2分、さらに質問内容まで制限され、経営陣が釈明する場面はほとんどなかったのだ。
フジMHDによれば、質問制限は新型コロナウイルス感染防止のためらしい。しかし、会場で質問した株主は「電通は不祥事だらけだが、質問制限はしていない」と声を荒げた。また、女性の株主は「質問時間が2分なら感染しなくて、20分だと感染するんですか」と詰め寄った。
フジMHDの総会は、例年“荒れる総会”として有名で、3時間を超えたときもあった。しかし、今年の総会は会社側の思惑通り、52分という異例の短時間で終了。感染防止を言い訳に、株主の権利を侵害する異常さばかりが目立っていた。
会場から出てきた株主は「今年は何もお土産がなかった。昼食のサンドイッチまでなくなった」と漏らしていた。来年は“お土産あり”“質問制限なし”となればいいが…。