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蝶野正洋の黒の履歴書 ★賭け麻雀発覚は安倍政権の“役人潰し”

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提供:週刊実話

「賭け麻雀」で黒川弘務さんが検事長を辞職したことについて、俺なりの意見を言わせてもらうよ。

 事の流れを整理すると、まず今年の1月末に前例のない定年延長が閣議決定され、黒川検事長が勤務を継続することになった。それを受けて、公務員が65歳まで定年を延長できることなどを盛り込んだ検察庁法改正案が3月に国会に提出されたんだけど、野党や国民からの猛批判にあって政府与党が成立を断念。そして、新型コロナで自粛期間中だった5月に、その黒川さんが新聞記者と3密の賭け麻雀をやっていたことが発覚。黒川さんは辞任となり、検察庁法改正案も廃案になった。

 この一連の出来事で俺が引っ掛かったのが、安倍政権の「公務員定年延長」のカードの出し方と、その時期だよ。こんな画に描いたような展開になるってことは、最初から政権側が黒川さんを辞任に追い込んで、改正案を廃案にさせたかったんじゃないかな。

 官僚は「実務と実績」、政治家は「選挙と政策」を重要視していて、政治家と官僚はコインの表裏の関係なんだよ。俺は公務員の定年を延長すること自体は必要だと思う。消防や警察も含めて現場は人が足りていないし、管理職も増やさないといけないしね。だけど、政治家としては官僚の権力を大きくするとコントロールが効かなくなる。地方なんてもっとそうで、役人の力が強いから誰が知事になっても思うように改革できなかったりする。行政というのは変革を極端に嫌う。主張せず、問題を起こさず、上から降りてきた案件を前と同じやりかたのバトンリレー形式で次に渡すだけ。

 ただ、保守的な行政のことも理解はできる。会社なら株主選出の役員(政治家)に振り回され、業績や利益が下回った負債処理のツケは社員に回る。政治家は支持を失ったら辞職で責任を取るが、負債業務を弁済する義務はないから、やり逃げだ。官僚はもちろん、政治家も、任期を穏便に終えたいのが本音だろうね。

 政治家は市民が選んだ代表だけども、お役人さんはただのエリート。だから自分たちを保守することしか考えない。役所の手続きなんかもITを駆使すれば簡略化できて人も減らせるのに、なかなか進まない。「改革」が役割の政治家と、保守的役割の行政は相反するんだよ。やっぱり職を確保したいという、役人ファーストのシステムになってる。安倍さんはそこを崩したかったんじゃないかと思う。

 ただ、役人を潰すためには、政治家にはもっと先にやるべきことがある。日本の戦後は、表社会も闇のシステムから復興している。政治の汚職なんかも今とは比べものにならないぐらいあったしな。ようやく社会がコンプライアンスを取り入れて、そういうこともなくなってきた。ただ、エリート官僚軍団VS野心家政治家軍団、遅れを取っているのは政治家の方だな。今回の仕掛けは、危機感を持つ政界が、官僚>政治家という図式を逆転させたい一手だと思うけど、まずは政治家が変革しないとエリート官僚軍団には勝てないよ。

 しかし、公務員改正の引き延ばしが「テンピン麻雀」とは、コスパがよすぎる。やってる事は、俺が経験した平成の新日本プロレスの経営と、同じレベルの騙し合いだ。

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1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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